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二人で黙々と手足の爪を染めていく。
「あー！ずっと下向いてたら首痛くなっちゃった！ベッドに寝転んで良い？」
「良いよー。好きに使って」
私も、もう乾いたかな？と指先でチョンと触ってみた。
「よしっ」
「ねぇねぇ」
「なに？」
「あのキッチンの小窓、カーテンか何か付けなよ」
真希は寝仏のような貫禄でベッドに横になったままキッチンの方を見つめる。
「あー………うん」
「あそこに立ったらこの部屋の中、丸見えじゃん」
「そうなんだけど、ここ２階でしょ？上がってくる人居ないし斜め下に女の人住んでるだけだし」
「危ないよ。あんた何か、えろいから」
「…………私、そんな感じ？岩田さんにも愛人顔って言われた」
「岩田さんに！？ちょっとこっち来て。顔よく見てみるわ」
私はベッドに腰掛けて、起き上がった真希と顔を近付けた。
「愛人顔………かも」
「ちょっとー！！」
「いや！何て言うの？ほっとする顔？甘えたくなる顔？でも魔性っぽい顔？」
「最後！！」
「でも本当は、そんなんじゃないもんね。分かってるよ？好きな人には真っ直ぐだもんね」
「………隆二さんは、それが鬱陶しいのかも」
「真っ直ぐだから？」
「そう。もっと駆け引きとか……余裕とか……そう言うことできる人には振り向くのかも」
「でもそんなのAじゃないじゃん」
そう………私は私を辞めることが出来ない。
だから、万が一振り向いてくれることがあるならば
私の“どれか”じゃなくて“どれも”好きになって欲しい。
欲張りかな…………。
「そんな悲しそうな顔して………あ！キス！どうだった？どんな感じ？」
「…………思わず目瞑っちゃう感じだった」
「いやーー！！何それ何それ！！」
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作者名：ぽち。
| 作成日時：2015年10月2日 19時
