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方向音痴で地図の読めない私が、隆二さんから送られてきた住所を頼りに、お店の近くの路地まで来た。








文明の力を駆使しまくって。









「この辺かなぁ………」









「遅い」









後ろから声をかけられて慌てて振り返った。









「あれ!隆二さん!」








「さっき俺の前通りすぎたでしょ」









「すみません、よく見えなくて」







彼は腕を組んで私を見ている。









「メシ………ですよね?」









「ここ、二人からじゃないと予約出来ないんだよ」








“ここ”と指差した場所は









「おっ、おすし!」









「おっ、おすしだけど?行こ」









「はい」









店内に入った瞬間から鼻先を何とも言えない匂いがくすぐる。









「こんばんはー」









「あ!こんばんは!どうぞ」








何だか常連さんの匂いもする。









いつもそこが指定席なのかカウンターの端っこに彼は座った。









特に椅子を引いてくれるとか、勧めてくれるとかもなかったので、私は隣に勝手に座った。









「何が良い?頼みな」








「あ、はい。えっと玉子」









彼は壁に飾ってある日本画をずっと見てる。








デリバリーの次は、数合わせ?









“会計別にしてください”と言われかねない。







「あの、誘う人いっぱい居たと思うんですけど………」









「この時間に腹減ってる奴居ないよねー。片っ端から連絡して最後がお前ね」









「あ………そうですか」









空腹を満たすための最終手段って感じか………。

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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年10月2日 19時

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