検索窓
今日:25 hit、昨日:61 hit、合計:690,263 hit

5 ページ27





「どういうって……」






「何だったか聞くってさ……自分でもよく分かんないまま受け入れたってこと?」






「そんな、私だけが悪いみたいな言い方しないで下さい……」









「どっちが悪いって話?なら俺が悪いんじゃない?でもさ……あれは……こんなにお互い責め合わなきゃいけない事だったのかな」






眉をひそめて少しだけ俯いた彼は、ため息混じりに






「終電、逃すよ」






そう言って私の横を通りすぎた。






駅に急ぐ人の中、動けない私だけが浮いている。






私が何より恐れていたのは、彼との関係が変わることじゃなくて、気付いたら捨てられていた過去の自分に、再び対面してしまうことだったんだ。






振り返って追い掛けて私が聞きたかったのは、あなたの気持ちですと言ったら彼は何て答えるだろう。






急いで振り返ったけど、彼の後ろ姿はどこにもない。






“待って”と言えば、彼は私を通りすぎなかった?







終電の人波に乗り損ねた私は、静まり返ったホームで一人






「好きです」






届くはずのない、枯れた告白を呟いた。








.







.









過去の記憶がお前に喜びを与えるときにのみ 過去について考えよ ────オースティン

切。→←4



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (309 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1026人がお気に入り
設定タグ:今市隆二 , 三代目 , 登坂広臣
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年7月14日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。