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「そんな!?」
「はい。だから、今市さんのとこで一緒に降りて私歩いて帰ります」
もう、日付も変わってだいぶ経つし明日寝坊しないように早く寝よ。
車を降りれば生ぬるい風が一気に体温を上げていく。
「中々の長旅でしたね」
「本当に」
「じゃあ……帰ります。お疲れ様でした」
彼に背を向けて、10分歩いたら私の家。
11分かかっても良いかなと、何となく振り返ったら彼がまだそこに居た。
「私、待ってって言ってませんよ?」
「うん。だって言いたいことありそうだもん」
「ないですよ?そっちがあるんじゃないですか?」
「えっと……」
「5、4、3、2」
「遅いから危ないよ」
立場逆転。
「10分ですよ?」
「10分でも」
「送ってくれるんですか?」
「うん」
彼は別に気のきいた事も言わなかったし、手も繋がなかったし、本当に送るだけだった。
でも
「ありがとうございました」
お礼を言った私を引き寄せて
「楽しかったね」
私の耳がムズムズするのは変わらない。
.
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口先だけで「愛してる」と言われても簡単に無視できるけど、態度で示されると、ついほだされてしまう────ムーニーハム
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作者名:ぽち。 | 作成日時:2015年7月14日 17時