愛執染着 ~狂愛より~ 弐【西侍】

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side桃


「ありがと。でもな、もう俺たちお別れやねん」

一度体が離されて、流星様が笑って言った。流星様が言った言葉の意味が理解できない。「お別れ」？僕たち、離れ離れってこと…？

「な、んでですか…？…い、や。嫌です！！！！」

流星様は泣きそうに笑って「俺の言うこと絶対聞かなあかんやん、奴 隷ちゃんやねんから」と呟いた。僕は奴 隷だから流星様の言うことを絶対に聞かないといけない。
それでもこのお願いは聞きたく無かった。
お願い聞いたらお別れやし、言うこと聞かなくてもすてられちゃう。どうしても流星様と離れ離れになっちゃう。
さっきよりずっと涙が溢れて、子どもみたいに「嫌嫌」と言い続けることしか出来ない。

「望くんが家に来て今日で半年やねん。望くんと暮らすのは半年だけって最初から決めててん」

「…いや。まだ半年です…」

「こんな可愛い望くんのこと半年も好きにさせてもらったんやから、俺はもう満足やで。自由にさせたるって言うてんねん。俺から離れて幸せになり？」

ぎゅうっと流星様に引っ付く。体を離してしまえばもう一緒にいられなくなるような気がしたから。僕はまだまた流星様に満足してないのに。流星様はもう僕に満足したの？
まだぎゅうして欲しいし、ちゅうもして欲しいし、えっちもして欲しい。まだまだ全然足りない。一生かけてもきっと満足なんてしない。

「…流星様！だいすきです！だいすき…！僕、ずっと流星様の味方でおるから！」

「最後にそれだけ聞けて良かったわ」

僕をお姫様抱っこして寝室に向かう。
「今日は最後やからな、いちゃいちゃして寝よ」なんて言われる。
ベッドに放られて、そのまま流星様も入ってくる。流星様の胸元に顔を埋めて、絶対に離さないよう背中にキツく手を回した。流星様の手も僕の背中に回っていて安心する。
それでも明日でお別れなんて考えたら嫌で嫌で仕方がない。涙は止まらないし、どうしたら流星様が考え直してくれるか考える。いいアイデアなんて浮かばなくて、時計の音が時を刻むのにまた心が削られた。

どうして。どうして。
僕の何が悪いの。

いい子でいる。いい奴 隷でいるから。
僕のこと捨てるなんて嫌。

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