45 ページ45
*
「...部活...？」
「せや。部活、バレー部やったやろ。梟だ...」
＿＿ ﾄﾞﾝｯｯ...！
反射的に、続く言葉を遮るように、無意識に身体が動いた。
気づくと、目の前の彼を突き飛ばしていた。
突然のその衝撃に少しよろつくキタサンと、
「おま、いきなり何すんねん、危ないやろが！！」と焦りと驚きが隠せていない様子の宮侑。
だって、なんで。どうして、一体どこで。
��バレー部やったやろ��
質疑でも確認でもない、確信を得た言葉。
間違いなくこの人は、私のことを知っている。
ここに来る前の私を...��梟谷11番��の私を、知っているのだ。
── ズキン、ズキン、
...あぁ、またか、この痛み。
頭が、胸が痛い...こころが、いたい。
遠くに来たら、バレーから離れて、何も苦しむことなんてないと思っていたのに。
この学校に来てから、こんなことばっかり。
「...人違い、ですよ。
初対面で自分のことは何も言わずに相手に根掘り葉掘りきいて、いくら先輩でもちょっと失礼なんじゃないですか」
「...！」
「ハッ...？！おま、赤石、命知らずにも程があるやろ...！！」
キタサンに口答えするなんて、とでも言いたそうに顔を歪める宮侑と、
先程の出来事に1ミリたりとも動揺していないかのように無表情なキタサン。
かと思えば少し目を細めて、ふは、と柔らかく微笑んだ。
「せやな、ちゃんと挨拶せなあかんな...すまんかった。
3年、北信介や。よろしゅうな、赤石さん」
そう言って優しく差し出された手。
「...宮くんと同じクラスの、赤石Aです...」
さすがに無視する訳にもいかず、少し遠慮気味に握った。
「赤石、A...ええ名前、やな」
「は、はぁ...」
私のことを知っているにしろ初対面なはずなのに、どこか懐かしいものをみるような北さんの目。
その瞳に映っている私は、��梟谷11番��なのか��赤石A��なのかどっちなんだろう。
「"人違い"して悪かったな。
...赤石さんとよう似た人がおってん、冷静になれんかった。すまんな」
「いえ、別に...」
「赤石さんは、バレーボール、好きか？」
「...へっ？」
何を聞かれているかは分かる。
だが、聞かれている意味が分からなかった。
バレーボールをやっていたか否かでも、やるかやらないかでもなく、��バレーボールが好きか��なんて。
そもそも人違いなんかじゃないと分かっているだろうに、どうして。
この人が...北さんが、分からない。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 196人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
作者(プロフ) - 華夏さん» コメントありがとうございます。嬉しいです！のろのろ更新ですが...頑張らせていただきます。(^^) (2021年11月2日 23時) (
レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 怜さん» コメントありがとうございます。作者にとってはとても嬉しい言葉です。お待たせしてしまって申し訳ないです...頑張らせていただきますね(*^^)v (2021年11月2日 23時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
華夏(プロフ) - これからも更新頑張ってください！! (2021年11月2日 22時) (レス) id: 4bbf064d28 (このIDを非表示/違反報告)
怜 - 好きです((((更新をください← (語彙力捨てた人) (2021年10月30日 20時) (レス) @page41 id: 2ad41d25ee (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - naonaoさん» コメントありがとうございます。頑張らせていただきますね！(^^) (2021年10月26日 7時) (レス) id: ed687f0afb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：作者 | 作成日時：2021年8月1日 23時
