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協定項目42 ページ43

「仕事終わったら桜を見に行かないかい?」


太宰のその一言で仕事終わりの夜に太宰とAは桜を見に来ていた。


「わぁ…綺麗……。」


立ち並ぶ桜の木。

夜だからこその美しさにAは感嘆の声を漏らした。


「見に来て正解だったね。」


Aの隣で桜の木を見上げながら太宰が云う。


「うん。」


風が吹いて桜の花びらが舞った。

その光景を見ていたAの目は輝いていた。

そんなAの表情を見て、太宰が満足げに微笑む。


「写真、撮らなくて善いの?」


太宰の言葉に思い出したようにAは自身の携帯端末を取り出す。

太宰は桜に目を向け、記憶に焼き付けるように眺めた。

Aは何枚か写真を撮ると太宰を見る。

桜を見る太宰の目はとても優しく、Aはそんな太宰の表情に見惚れていた。

一枚だけ、そう思ってAは携帯を太宰に向ける。

カシャ、と言う音が響いた。


「あ、A今私の写真撮ったでしょ。」

「え、と、撮ってないよ。」


慌てて携帯を隠すAに太宰はクスリと笑う。


「別に怒ってる訳じゃ無いんだから。」


そう云った後に太宰はAを見つめた。

Aは驚きながらも太宰を見つめ返す。


「ねぇ、Aから見た私の瞳には何が映ってる?」


突然の太宰の発言にAは戸惑った。

然し、真剣な太宰の表情にAは太宰の瞳をじっと見る。


「何って……私と、景色…かな。」


Aの答えに太宰はにっこりと微笑んだ。


「そう。私の瞳にはAとこの景色が映ってる。でもね、私にとって景色なんて如何でも善い。私はAが見えていればそれで善いんだ。」


そう云うと太宰はAに歩み寄って、Aの肩を掴む。


「だからAも、私を、私だけをその目に映してくれ。」


必死な表情の太宰にAは目を丸くした。

然し、暫くすると肩を震わせて笑い出す。


「云われなくたって…とっくに治しか映ってないよ。」


ゆっくりとAの肩を掴んでいた手が下ろされた。


「私は…君に依存してしまっているのかもしれない。」

「…そんなの、私だってそうだよ。」


太宰がAの髪を愛おしそうに撫でる。

やがて二人の顔が近付いていき、唇が重なった。

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(プロフ) - 分かりました! (2017年4月1日 13時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
スターチス(プロフ) - 和さん» 実は私お友達申請などのしくみがよく分からなくて…私もぜひお友達になりたいので教えてくださいませんでしょうか。 (2017年4月1日 11時) (レス) id: 134aa8d2bb (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - お友達申請してもいいですか? (2017年4月1日 1時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
medaemon(プロフ) - スターチスさん» 頑張って下さい!!待ってますよ! (2017年3月31日 9時) (レス) id: ca66a711e7 (このIDを非表示/違反報告)
スターチス(プロフ) - medaemonさん» そんな、全然上から目線なんかじゃないですよ。コメントしていただいただけでありがたいです。最近あまり更新出来ていませんが、頑張りますね! (2017年3月30日 22時) (レス) id: 134aa8d2bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:スターチス | 作成日時:2017年1月31日 1時

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