協定項目15 ページ16
Aは目を閉じたまま、太宰の心臓の音に耳を澄ます。
寝台の上、抱き締められた状態だからこそ、出来ることだった。
規則的な鼓動は太宰が生きている、と云うことをAに実感させる。
「…A、寝たかい?」
太宰のその問いにAは答えなかった。
太宰の反応が気になったからだ。
「相変わらず寝るの早いなぁ……。」
そう呟くと太宰はAの髪を撫でる。
「Aと出逢って2年…か。」
太宰がしみじみと云った。
Aは寝た振りを続けながら、太宰の言葉を聞く。
「本当に、人は変われるものだね。」
太宰の過去。
Aは凡て知っていた。
太宰が自分に凡て語ったからだ。
酷いと思った。
怖いと思った。
でも、太宰の表情を見ていて、今にも泣きそうな顔をしていた太宰を見ていて、Aは太宰を嫌いになることは出来なかった。
「織田作が私に人を救う側になれと云ってくれなかったら…私は君とは逢えていなかったのだよね。」
Aの瞳から涙が零れる。
太宰はそれに気付いたのだろう。
Aの躰を少し離した。
「矢っ張り、起きてたんだね。」
そう云うと、親指でAの涙を拭う。
「……治…。」
悲しい過去を持つ太宰を、
孤独と云う闇から抜け出せなかった太宰を、
Aは支えたいと思った。
だから、Aは太宰と結婚したのだ。
「……好きだよ。」
Aが、太宰と唇を重ねた。
言葉だけでは伝えることが出来ない愛を伝える為に。
「うん、私もだ。」
そう云い、太宰が強くAを抱き締めた。
死ぬまでAを愛すると誓いながら。
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和(プロフ) - 分かりました! (2017年4月1日 13時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
スターチス(プロフ) - 和さん» 実は私お友達申請などのしくみがよく分からなくて…私もぜひお友達になりたいので教えてくださいませんでしょうか。 (2017年4月1日 11時) (レス) id: 134aa8d2bb (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - お友達申請してもいいですか? (2017年4月1日 1時) (レス) id: 70dae8966d (このIDを非表示/違反報告)
medaemon(プロフ) - スターチスさん» 頑張って下さい!!待ってますよ! (2017年3月31日 9時) (レス) id: ca66a711e7 (このIDを非表示/違反報告)
スターチス(プロフ) - medaemonさん» そんな、全然上から目線なんかじゃないですよ。コメントしていただいただけでありがたいです。最近あまり更新出来ていませんが、頑張りますね! (2017年3月30日 22時) (レス) id: 134aa8d2bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スターチス | 作成日時:2017年1月31日 1時