[ツイステ]その監督生、真性の悪魔にて。【5】 (ページ17)

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episode 3-21 ページ17

グリファスside

『あの哀れなイソギンチャク達を解放していただきたいのです』

アズールは特に驚いた様子もなく、こちらを小馬鹿にした様子でにこにこと笑っている。

「ははっ。これはまた、突然横暴なことを仰いますね。僕と契約した生徒、225人の解放ですって？」

「そんなに契約してやがったのか……！」

連れされられた生徒がかなり多いことは把握していたが……それほどまでとは。この学園の生徒たちの底が知れるというものだ。

『えぇ。その通りです。無論、タダでとは言いません。何かを求めるのなら対価を支払う。契約の基本ですよねェ。あのイソギンチャク達も、対価を支払わされただけの話。そうでしょう？』

「多少は話ができそうですね。感情論でごねるようなら、直ぐに追い出そうと考えていましたが……」

『生憎、＂契約＂には詳しいんです』

「ふむ……いいでしょう。ですが、それなりに大きな担保が必要になりますよ。例えば……あなたのユニーク魔法とか」

『それだけでいいんですかァ？ワタクシが住んでいる寮の権利など、欲しくはございませんか？新築同様……2号店など開かれるようでしたら、もってこいの場所ですよ』

ぴく、とアズールの目尻が僅かに動く。寮の使用権は、相当魅力的に映ったはずだ。

『何なら、ワタクシが契約違反した暁には、学生生活の間はワタクシを自由に＂使える＂権利も付けて差し上げます』

「それはそれはありがたい話ですが……そんなことをして、あなたに何の得が？」

「そうだマルム！そんな契約はよせ！」

『これだけの対価を提示したのですから、契約内容は＂慮って＂いただけますよね？』

「そちらが不利な条件にはするな、と？」

『まァ、それをお決めになるのはアーシェングロット先輩ですから』

アズールは目を瞑り、こめかみを軽くとんとんと叩く。恐らく他の契約と変わらずこちらに不利な条件を提示してくることだろう。むしろ、こちらの担保が魅力的な分、明らかな妨害をしてくる可能性が大きい。相手の動きを読みやすくする為に、わざと担保を吊り上げた。

「いいでしょう。では、担保はあなたが仰った通りに。契約の条件は……＂3日後の日没までに、珊瑚の海にあるアトランティカ記念博物館から、とある写真を取ってくること＂」

その条件をアズールが口にした瞬間、部屋の隅に立っていたジェイドが驚いたような顔を見せた。「とある写真」とやらは、何か彼らに関連するものとみて間違いない。