No.1手紙 ページ2
みんな、元気にしてますか？
私は勿論元気にやってます。
でも、まさか本の世界でしかあり得ないと思ってたのに転生しちゃうなんて、流石に思ってなかったよ。
私がその事を思い出したのは“個性”が発現した…4歳ぐらいの時かな？
こう…急にパッと色んな記憶とか思い出とかが頭の中に出て来た感じ。あはは、説明下手でごめんね？
今ね、私、ある孤児院でお世話になってるの。
両親がどんな人かも知らないんだ。
私がまだ赤ちゃんの時に、孤児院の前に置き手紙、赤いヘアピンとマフラーが置いてあったんだって。
「この子をお願いします」
の一言だけの文の下に『楯山文乃』って、私の名前が書かれてたんだって。
前世と全く同じ名前で、ちょっと笑っちゃった。
まだ、前世のみんなには会えてないけど、この世界の何処かにいるって信じてます。
みんなに早く会いたいな。
…ちょっと湿っぽくなっちゃったね、ごめん。
でも、みんなに会いたいのは本当です。
シンタロー、また家に引きこもっていたら承知しないんだから。
早く私を見つけてね。
私もシンタローと、みんなとの再会を夢見て頑張ります！
シンタローとみんなへ
アヤノより
＊＊＊
手紙を書き終わると、私はその手紙を箱の中へ入れる。中には記憶が戻ってから毎日書いていた手紙の山。
ふふ、いつの間にかこんなに書いてたんだな。
「……の〜？文乃〜？」
「！あ、はーい！」
扉から名前を呼ばれて私は返事を返す。
ガチャリと扉が開き、そこに居たのはこの孤児院のお母さん的存在、
私はお母さんと呼んでいる。とても優しい人。
「はい、貴方に手紙が届いていたよ」
「手紙？」
「『雄英高校』からだって」
「…！？ゆ、雄英！？」
雄英高校って凄くレベルの高くて、でもヒーローを目指す子達に人気の学校…だよね？どうして私の所に？私、頭悪いのに…。
恐る恐る私は手紙を開け、内容を読む。
そこに書かれていたのは『推薦書』。
「す、推薦！？え？わ、私を推薦！？」
私は今中学3年の受験生。もうすぐ高校生だ。
推薦なら一発合格も夢ではないが、何故私の所に？
そこに書かれていたのは、もし受けてくれるならの場合用の学校の場所と面接をする日時、あと持ち物など。
ひとつ問題がある。雄英はこの孤児院からかなりの距離で、通うにはお金が物凄くかかる。
どうしよう…。
「……」
.
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作者名：サヒア | 作成日時：2018年2月22日 3時
