● ページ32
どんなに仲間としての絆を深めていても、彼女は決して自分のペースを乱すことはなく常に公平で……つまり、利用なんて出来るほど単純な人間性の持ち主ではなかった。という訳だ。
「鬼道さんのことで、少しねーー」
彼女の事を思い返していれば、俺の質問に答えるように先輩が口を開いた。
「鬼道」という言葉が耳に入ってきた瞬間、一星は少しばかり顔つきを険しくさせて反応してしまう。Aはそんな一星の小さな変化を見逃す事なく気がつき、クスリと小さな笑いを洩らしている。
そして何事もなかったかのように話しを続けはじめた。
「鬼道さんのドーピング疑惑が出て、ここイナズマジャパンから居なくなってしまったのに、私はその事に対して怒りや不安などの感情がでてこない」
「先輩……」
「なんか、それって薄情なのかな？ って思ってさぁ〜……でも、ただ、寂しくはあるんだ」
そう言いながら切なげに目尻を落とし、どこか悲しそうに笑うAの横顔はとても美しく、少しばかりその顔に一星は見惚れていた。
「……先輩は、鬼道さんのことが好きなんですか？」
「好きだよーー」
「え⁉」
Aが何の躊躇もなく「好きだ」という単語を口から発すると、一星は驚きの声を小さく上げAの方へと顔を向ける。
黒く縁取られた薄く綺麗に広がる青い一星の瞳と淡い翠色がどこか神秘性を引き立たせているAの瞳とが互いに交わされる。
「ただ、一星くんが恋愛感情の事を指しているなら……多分、違う」
「たぶん、なんですか？」
「たぶんだね。私は鬼道さんの事を人としてもプレイヤーとしても尊敬している。つまり、人間としてとても好きなんだよ。だから、それが恋愛感情に変わらない！ とは言い切れないからね」
ーー絶対的なものなんか、早々ないよ。
特に人の感情なんてものはねーー
Aはニコリと一星に笑いかけた後、また夜空に浮かぶ星に顔を戻していた。
「僕に聞かないんですか？」
「ん〜？ 鬼道さんをはめたのは君だろう？」
「…………」
「って、聞いてほしいの？」
「…………そうだ！って言ったら先輩はどうするつもりですか？」
「いや〜、どうしようかね〜。困っちゃうなぁー、それは……」
どこまで本気なんだ？ この人は？
普通に会話している時と同じように、全く乱れることのない抑揚。
一星はAの相変わらずブレない態度に苛立ちを感じ始めていた。
●→←夜空に溶け込む青 (イナイレ オリオンの刻印)← 一星 充
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奏(Kanade)(プロフ) - マリコさん» リクエストありがとうございます。すみません、公式の方でチョッパーは人間の女の子に興味がない。と、なっているので、チョッパーと仲間のCP小説は想像ができなく、書くのが難しいです。何度もすみません。 (2019年6月14日 5時) (
レス) id: 9dfcc2ee40 (このIDを非表示/違反報告)
マリコ - ワンピース原作チョッパー&ロビンCP小説題名は『チ＜ロビン俺はお前が好きだ〉ロ＜私もよチョッパー〉』っていうそしてチョッパーがロビンに『好き』って気持ちを答えるお話を見せてください。奏さん (2019年6月13日 23時) (レス) id: a6fd094184 (このIDを非表示/違反報告)
Kanade(プロフ) - マリコさん» ご返信、ありがとうございます。すみません、初めに言ったようにこの3人が変愛感情に芽生えて発展していく。と、いう展開がどうにも想像できなくて...。前回の友愛で精一杯なんです。なのでそのリクエストにはお応えできません。本当にすみません。 (2019年2月8日 16時) (レス) id: 30b1d9cda3 (このIDを非表示/違反報告)
マリコ - Kanadeさん» え〜と、チョッパーがロビンに告白するって事でしょうかですね？はい、その通りです。Kanadeさん (2019年2月8日 16時) (レス) id: 1045ea89cf (このIDを非表示/違反報告)
Kanade(プロフ) - マリコさん» この前は、リクエストありがとうございました^ - ^ え〜と、チョッパーがロビンに告白するってことでしょうか？ (2019年2月8日 0時) (レス) id: 30b1d9cda3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：奏 | 作成日時：2018年11月5日 22時
