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ふたつ ページ4

伏黒目線


別の日。

日が沈みかけている頃。

俺はまた、呪霊を祓っていた。

呼び出した鵺や玉犬たちに指示を出しながら戦闘を続け、呪霊を祓い終えた。

撫でて誉めてと寄ってくる式神たちに手を伸ばそうとしたその時。

「っ!?」

……死角から。

強い、呪霊の、気配が。

「ぐっ………!!」

衝撃。

俺は壁まで吹き飛ばされ、叩きつけられた。

術式が途切れる。

「くそっ……!」

頭が回らないまま、もう一度呼び出そうとするが、集中できない。

呪霊が気味の悪い奇声を発しながら、こちらを近づいてくる。

(急げ、早く………!)

目の前まで呪霊が来て、攻撃されかけた、次の瞬間。



呪霊が、潰れた。



「っ……!?」

物凄い衝撃が地面に走り、ひび割れ、砂ぼこりが起きる。

咄嗟に腕を頭を守るように交差させた。

砂ぼこりのせいで軽く咳き込みながら、ゆっくりと交差を解く。

その砂ぼこりの中に立っていたのは。

「……?」

大体小学生くらいの、子供だった。

真っ黒な衣服を身に纏った子供は、ゆっくりと視線を俺に向ける。

子供は先程の呪霊を踏みつけていた。

「……!」

今の衝撃の原因は、恐らくこいつだろう。

俺は警戒し、子供を睨む。

子供はそれを意に介さず、静かに歩みよってきた。

俺の目の前、1mくらいでぴたりと止まる。

子供はしゃがみ、俺の顔を覗き込んだ。

その目は、まるで深淵のようで。

「……。」

『……。』

目を剃らしたい、だが剃らせられない。

しばらくの間黙ってそうしていたが、唐突に子供は俺に手を伸ばした。

体を強張らせる。

子供は、俺の額に触れた。

怪我をしていた部分、そこを触られて痛みがはしった。

が、その痛みは唐突に消えた。

「……!?」

子供が手を離した後、傷があったはずの額に触れる。

額だけではない、他の怪我もその部分にべったりと血がついているだけで傷ひとつなくなっていた。

「……お前が、治したのか……?」

そう問うと、子供はこくりと頷く。

子供はおそるおそるといった様子で俺の右横まで移動し、腰をおろす。

そして俺に何度か手を伸ばそうとしては戻す、を繰り返していた。

どうやら気を使っているらしい。

俺は試しに子供の頭を撫でてみた。

子供は肩を震わせたが、そのまま身を委ねていた。

少しの間そうして、俺は立ち上がる。

「……ついてくるか?」

子供は少し迷い、頷く。

俺が歩き出すと、子供は静かについてきた。

そのまま高専へ向かった。

みっつ→←ひとつ


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メルヘン - 続きすごく気になります!これからも頑張ってください!応援しています! (2021年1月10日 11時) (レス) id: e7868645e8 (このIDを非表示/違反報告)
巫都 - 面白かったです!続き楽しみにしてます! (2021年1月7日 16時) (レス) id: b5eb63bfb4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鷹っぽい鷲 | 作成日時:2021年1月1日 20時

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