赤井秀一さんと住んでみる3【沖矢昴】

144.標的 ページ47

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ピンポーン


『…宅配便です』


…今、絶賛組織の任務を遂行しようとターゲットの元を訪れている。
背後にはバーボンに変装した秀一さんがいる。

かなり古いタイプのアパートだから、インターホンにカメラは付いていない。

覗き穴は事前に塞がせてもらった。

住民もこの人以外いない。


あとは、
私とターゲットの男の演技力にかかっている。



？「…あれ？宅配は頼んでませんけど。
…おかしいな。覗き穴から何も見えないな…。」



『廊下の電気が切れちゃったみたいで…、
申し訳ないですが、宛先をお部屋の明かりで
確認させて頂けませんか？』



？「…そういうことなら…。…どうぞ。…！！」



どうぞと言って開いたドアから拳銃を突きつけ一気に押し入る。



『手を挙げて、そのまま部屋の奥へ移動を。』



銃を突きつけながら部屋の中を物色する。



『…名前は？』



？「…し、知ってて来たんじゃないのか？」



『…念の為、自分で名乗って？』



吉沢「……吉沢、蓮…。
そ、組織の奴か？知っちまったあんたらの秘密なら誰にも言わないから！！
…頼む！見逃してくれ！！」



『…この人で合ってる？』



バーボン「…ええ。間違いなく。
しっかり狙いを定めてくださいね。」



『…ええ。勿論。
…吉沢さん。もっと窓側に移動してくれる？』



怯えた表情で何度もうなずいている標的。



パンッ、パンッ



1発目は腹部。2発目は胸に命中させる。
吉沢はその場に崩れ落ちた。


空砲とはいえリアルな感じがして、拳銃を構えたまま動けなくなる。


大丈夫、これは演技なんだから。
彼は死んでいないし、公安が彼を保護してくれる。
だから、大丈夫。



ふと拳銃を構える左手を背後から優しく包まれる。



バーボン「…心臓に、命中していませんよ。」



耳元で囁かれ不覚にも別の意味でドキドキしてしまう。
背後から抱きしめられる形で拳銃の上から手を握られ、最後の1発を撃ち込んだ。


…私、何ときめいてるんだ。殺 人現場で。
いや、正確には死んでないけども。

ずっと死んだフリをしてくれている吉沢からも、
…早く終わらせてくれという圧を、…実はずっと感じている。



バーボン「…Aさん。早く終わらせて帰りましょう。」



『…ご、ごめんごめん。』


用意して来たライターオイルを吉沢の周りにばら撒く。

バーボン「…おや？悪い子だ。

…帰ったら、お仕置きが必要なようですね。」



……いや、……誰だよ。

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