赤井秀一さんと住んでみる3【沖矢昴】

140.一生消えない傷痕 ページ43

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Aside



目を覚まして最初に目に入ったのは、
ホテルの高層階の窓から見える夜景と、
その窓の側の椅子に座り新聞を読んでいる
…先程私を抱いた男。



『……いてくれたの？』


秀一「…ああ。また君に泣かれては困るからな。」


『…ありがとう』



ズキズキと痛む腰と事後の怠さからか、
うつ伏せの状態から起き上がるのは難しそうだ。



秀一「…俺でよかったのか？」



『…なにが？』



秀一「…初めてだったんだろう？」



『…うん。
…このまま生きてても、
一生彼氏なんてできないだろうし、

……あなたならいいと思ったから。』



秀一「…それは光栄だな。
…しかし、君は本当はいくつなんだ？
20歳というのは嘘なんだろう？」



『…それは秘密。知らない方が幸せかもよ。』



秀一「…そうか。
…君はこれからどうするんだ？
俺と連絡先を交換するつもりもないんだろ？」



『…うん。
親しくなった人が消されるのはもう見たくないの。』



秀一「…残念だな。
俺は君ともう少し仲良くしても良かったんだが。」



微笑みながら言うその言葉が嘘か本当かはわからなかった。
同時に窓の外を眺める彼の横顔を見て胸が締め付けられるような気持ちにも、気付かないフリをした。



『…私は1人で生きていかなきゃいけない運命みたいだから、1人で生きていくの。

…それとも、別の意味のお誘いだった？』



秀一「…ほぉー。君も同じことを考えていたのか。
…ちょうど俺ももう一度と思っていたところだ。

安心しろ。
また君が目覚めるまで、一緒にいてやる。」



そう言って仰向けにさせられまたキスをされる。


優しく抱かれながら、この人が側にいてくれてよかったと心の底から思った。



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そして現在、目の前の男からそれが自分だと明かされた。



『…え、…でも、…そんな…こと、』



秀一「言っておくが、俺は君が好きだから抱いたんだ。…勘違いするなよ。」



『…その人アコーディオン弾くよ？」



秀一「…あぁ、そんなバイトもしていたな。」



『……もっと色黒だった。』



秀一「海水浴の帰りだったからな。」



『…目の下に傷が…』



秀一「あれは乱暴な母さんに付けられたんだ。
…そんなに信じられないか？」



『……それは…』



秀一「なら、その男しか知らないことを教えてやろう。
連絡先を教えなかった君と別れを惜しんだその男は、君の身体に一生消えない傷痕を残した。違うか？」



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