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七十七話 葡萄 ページ28





右手の甲から葡萄の木が生えてくる。ミシミシと音を立てながら急速に伸びていく。
痛みはさほど感じなかった。どちらかというと、違和感の方が大きいかもしれない。


もう少し木成長させて右手を左右に振れば、風が起こり土を払えるのではないだろうか。

前にスタインベックに教えてもらったことを思い出しながら木の成長を待った。



「・・・よし」


意識を右手に集中させながら、窓を木で叩き割った。あっさりと割れた窓硝子を見て、これなら強度は問題ないだろうと確信した。

窓硝子を叩き割ったことで、十分木が通れるようになった。



「行け」


小さく声をあげて木に命じた。すると木が一直線に窓の方へ向かい、外へあっという間に出ていった。

激痛を覚悟しながら右手を左右に軽く振った。予想通りかなり痛かったが、今外では強風が巻き起こっている。成功したのだ。



「これを後数分続ければっ」


止める事無く手を左右に振っていく。次第に痛みにも慣れていき、葡萄の木をコントロールすることに集中できた。


銃声が聞こえた。恐らくマークの銃弾だ。敦を見つけて撃っているのだろう。

この木にマークが気づいたら拙い。でも、木を引っ込める時間は無い。




「異能力【真似っこ少女】」



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作者名:赤菊 藍 | 作成日時:2018年10月2日 19時

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