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七十六話 異能の使い方 ページ27
「異能力【真似っこ少女】 ジョン・スタインベック」
また何時ものように異能を使った。異能発動時に起こる風が辺りの砂埃や瓦礫を吹っ飛ばした。
体が重くなるのを感じると同時に、見ていた景色が少しばかり遠のくのを感じた。完全にスタインベックになれたのだと安心した。
・・・早く敦を助けないと。
右ポケットに入っていたナイフと葡萄の種を取り出す。数か月前に葡萄の素晴らしさというものの講習をみっちり二時間ほど受けたので、今では嫌というほど扱い方を覚えた。
あの講習は二度と受けたくない。
厚みのある男性独特の手のひらに葡萄の種を二つほど乗せた。
スタインベックの手のひらが大きいからか、葡萄の種が小さいからなのか、はたまた両方なのか、葡萄の種が掴みにくかった。
切れ味のよさそうなナイフを左手に持ち、右手の甲に切れ目を少し深めに入れた。
痛みに慣れているとはいえ、やっぱり痛い。スタインベックは異能を使うたびにこんなことをしているのかと思うと、本当に尊敬する。
早く資金をためて妹さんたちがいる故郷で温かい暮らしをしてほしい。
なんてことを考えながら右手で握りしめていた種を切れ目に押し込んだ。
異物が切れ目に入っていくのが何とも言えず気持ち悪いが、これも敦やモンゴメリちゃんたちの為。
「異能力【怒りの葡萄】」
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作者名:赤菊 藍 | 作成日時:2018年10月2日 19時