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七十五話 戦略的撤退 ページ26




「っと・・・何とかここまで来れたわ」



やっとのことで建物の中に入って来た。

何回か崩れた地面に落ちそうになったり、狂人に腕を引っ張られたりもした。一歩間違えばあたしの計画が失敗していただろう。
そう思うと背筋に冷や汗が伝った。



「さて、休んでいる暇なんてないわ。敦を助けないと」


口では言ったものの、実際どの異能力を使えば敦が助かるのかはわからない。下手に敦の助けになろうと考えると、逆にマークの加勢をしてしまうかもしれないし、あたし自身が負傷して、この抗争を終わらせることが出来ないかもしれない。



自分の選択が自分を滅ぼす。こんな単純なことは解っているつもりだったし、そう心得ている。が、今回ばかりは背負っているものが自分だけではない。

ヨコハマの地、組合の名誉、自分の命、モンゴメリちゃんの命、敦の命、他にもまだまだ山ほどある。この中の全てを守ってこの抗争を終わらせるのは絶対に無理だ。何かを手に入れるためには何かが犠牲にならなくては、完全なものは生まれない。



「あたしが・・・守るから」


手を胸に当てながらそう言葉を零した。けれど、不安や迷いは一向にあたしの心から消えない。




この先何が待ち構えていても、冷静に対応することが出来るのだろうか。




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作者名:赤菊 藍 | 作成日時:2018年10月2日 19時

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