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七十四話 狂人 ページ25
「敦?!」
銃弾の発射された音がする。動こうにも動けないので、とにかく名前を叫ぶ。たまに土埃が目や耳に入ったり、足場が崩れてきたりしている。
ここも危ないかもしれない。
「敦も居なさそうだし、移動した方がよさそうね」
周囲に居る筈の狂人者や弾丸に気を配り、油断していると一瞬で崩れていく足場。下手したら即死亡だけど、あたしはこんなところで躓いていられない。
こんな馬鹿げた戦争を、終わりにしてやるの。
「運命なんてものに惑わされてたまるものですか」
きっと今あたしは濁った眼をしている。
第三者から見たらあたしのほうがよっぽど狂人に見えるだろう。
右足をゆっくりと前へ出した。確かに地面の感覚がする。
一歩一歩に命をかけながら前へ前へと進む。
とにかく、建物か何かに入ろう。
「敦、無事でいてよ・・・」
あちこちで銃声が鳴り響いていて、心なしか敦の声が聞こえる。が、あたしがマークの銃撃戦に参戦すれば一瞬で首が吹っ飛ぶだろう。敦の役に立てるとは思わない。
それに、あたしが建物へ入って土埃を一掃できる異能を使えば敦が動きやすくなるかもしれない。
焦る思考と逸る心臓の音に惑わされながら、必死に意見をまとめる。
果たしてこれが正解なのか不正解なのかはわからない。自分の想いがあっているのかわからない。
目頭が熱くなってくるのを何とか抑え、一番近くにある建物を探した。
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作者名:赤菊 藍 | 作成日時:2018年10月2日 19時