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番外編【夏に囚われた青年と少女】【カゲロウデイズ】 ページ27




現在八月十五日の午後十二時半。やけに天気がいい。まるで何かの予兆の様に。


約束があったので、身支度をして公園に向かった。今日はこの暑さの所為なのか、数人としかすれ違わなかった。ヨコハマのこの時間帯は結構人が居る筈なのに。

疑問を持ちながらも歩を進めると、ブランコに座って楽しそうに猫を撫でている中山がいた。



「悪い。ちょっと遅れた」
「あ、立原さん!大丈夫ですよ。私も今来たばっかりです。」
「おう。そうか」



中山の隣のブランコに俺も座り、他愛もない話をした。昨日の晩飯の話、俺の上司の話、中山の仕事の話、そして人をあまり見かけなかった話。


気がかりだったのが、人を見かけなかった話をしたら中山が何処か暗い顔で曖昧な返事をしていた。
まあこの暑さだ。もしかしたら暑かったのかもしれない。そう思い、俺は持ってきた水を中山に渡した。中山は美味そうに水を飲んでいる。



「ありがとうございます。美味しかったです。」

そう言って満足そうに微笑んだ中山。その優しい表情に胸が高鳴った。


また、どうでもいい話をした。職場の事、巷で有名な菓子の話、好きな音楽の話。そして、夏の話。



「俺は夏、好きだぜ」

「私は・・・嫌いです。」


はっきりと否定した中山。何か夏にトラウマでもあるのだろうか。
理由を聞こうとしたら、さっきまで中山の膝で愛でられていた猫が逃げ出した。中山は「待って!」と言って猫を追いかける。


俺の背筋が凍った。
青信号から赤信号になっている信号。横から物凄い勢いで突っ走ってくるトラック。



「ちょっ!おい待て!その先は!!」



手を必死に伸ばすも、あと少しの所で届かなかった。血が俺の服や地面や草木に飛び散る。


道路の先に、もう一人の俺が突っ立って笑っている。



・→←黒歴史暴露と罪



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孤児ギン(プロフ) - 赤菊 藍さん» え、貼ってくださるのですか!?もちろんどうぞ!とても嬉しいです!(元漆黒の天使鬼気です) (2018年12月18日 18時) (レス) id: fd17ce3ff7 (このIDを非表示/違反報告)
赤菊 藍(プロフ) - 漆黒の天使鬼気さん» ここで質問なのですが、今連載している章が終わるといつものように表紙絵を貼るのですが、漆黒さんの絵を表紙絵にしても宜しいでしょうか?あまりにも可愛いので載せたいのですが…… (2018年12月18日 17時) (レス) id: cc808b1622 (このIDを非表示/違反報告)
赤菊 藍(プロフ) - 漆黒の天使鬼気さん» 突然すみません。以前頂いたイメ画をどうしても載せたくて色々調べた結果、載せることが出来ました。遅くなってしまい、本当に申し訳ありません。とっても素敵な絵を描いて下さりありがとうございます。「可愛いっ!」と思わず声をあげてしまいました。 (2018年12月18日 17時) (レス) id: cc808b1622 (このIDを非表示/違反報告)
赤菊 藍(プロフ) - 漆黒の天使鬼気さん» 漆黒さん!いえいえ、こちらこそ何時もコメントと観覧ありがとうございます。明日くらいに続編へ行きますが、どうか中山ちゃんと立原さんを見守っててやっててください。 (2018年10月26日 22時) (レス) id: 729a63d6a3 (このIDを非表示/違反報告)
漆黒の天使鬼気(プロフ) - 本当に素晴らしいです!毎度毎度ありがとうございます! (2018年10月26日 22時) (レス) id: e9d5dcb395 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤菊 藍 | 作成日時:2018年8月7日 20時

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