学園に来た訳の段 ページ5
僕と兄上は10離れた兄弟です。
まだ僕が幼い頃家が滅ぼされて、身内は兄上だけとなりました。
その後、仏門に入り、二人で修業と勉学に励み、忍法と兵法を学びました。
僕が6つぐらいでしょうか。兄上がある城に就職なされました。
その後時々会いながら僕は修業していました。今から6年ほど前に兄上がこの学園に転職されたと聞きました。山田先生という方にお世話になったと聞いております。ちょうどその頃からアルバイトを始めたので会う回数が一気に減りました。
そして僕が14、つまり去年ですね。就職活動をしているところにドクツルタケ城から声がかかりました。
10の頃から技術を盗む為に忍の仕事を中心にアルバイトもしていたので声をかけてもらえたんだと思います。僕、結構腕がいいと評判だったんですよ。
戦好きとは聞いていたので一旦断ったのですが、殿が変わったと言われ就職しました。
しかし、それは僕を就職させるための嘘だったということをふとしたことで知ってしまいまして最近は忠誠心が薄れていました。
そんな時につい先日の忍務で僕がヘマをしまして、どうせ罰せられるなら、と忍者隊を抜けることを決意したのです。でも抜け忍は御法度。結局追っ手に追われ戦いもしました。命からがら撒きましたが、出血の具合と、毒も受けていたので死の覚悟をしました。最期に一目でも兄上に会いたいと思いこの学園に足を運んだのです。夜中に騒いで申し訳ありませんでした。
☆
黙って聞いていた先生達も息を飲んだ。15でプロの忍とは……。また、15の子供が死ぬ覚悟をしたことにも息を詰まらせた。
「そういうことじゃったか。思いついたーー!!」
「「げっ」」
学園長の突然の思いつきに先生達が焦る。
「げっ、とはなんじゃ、げっとは。
A、今日から学園で働くといい。ここには同い年もいる。互いにいい刺激になるじぁろう。まずは怪我を治すことが先決じゃがな。」
「えっ、本当ですか!〜〜っっ兄上!!」
嬉しさの余り言葉にできないA。かろうじて兄の方に振り向く。
「学園長、本当にAをここに置いてもよろしいのですか!?」
「いいと言っておるじゃろう
半助、お前も嬉しそうな顔をしておるぞ。」
学園長の言葉に先生たちにも笑いが起こる。先生の中で一番若い土井先生が見せる珍しい表情だった。
☆
Aの部屋は土井先生と山田先生の部屋に入れてもらうことになった。
「山田先生、兄から話は聞いております。本日からよろしくお願い致します。」
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作者名:七瀬 | 作成日時:2018年7月27日 1時