学園長先生に挨拶への段 ページ4
伊作が金吾達に礼を言って、は組を外に出した。
一年生が見るには、怪我が酷い。
「保健委員長の善法寺伊作です。まず名前を教えてもらってもいいですか。」
少し躊躇ってから口を開いた。
「土井…土井Aです。あの!!なぜ、僕は生きてるんでしょうか。」
起きたばかりで頭が混乱しているのか、焦ったように聞くAに土井先生が止めにはいる。
「A、落ち着け。まずは伊作が怪我診てくれるから。」
☆
「はい、出血も止まってるので大丈夫だと思います。まだ、毒の影響で少し動きにくいとは思いますが。」
「善法寺君、ありがとうございました。」
伊作の問診が終わった。
「土井先生、このあと学園長先生の庵へAさんと向かって下さい。」
「ああ、わかった。ありがとな、伊作。」
「いえ、保健委員ですから。」
へらっと笑顔を見せた伊作に礼を言う。
歩きにくいということでAに肩を貸す。いつのまにか身長が近くなっていたことに内心土井先生は驚いた。
(当たり前か……。もう15だもんな。数年前に会ったっきりだったしなぁ。)
など思っていると、Aが土井先生に話しかけた。
「兄上、お久しぶりです。このような状態でご迷惑をかけてすいません。」
「迷惑じゃないよ、A。ほんとに久しぶりだな。つもる話もあるし、まずは学園長先生のところに行こうか。」
優しい声音で土井先生に言われAはひどく安心した。
☆
「学園長先生、土井です。弟を連れて参りました。」
「うむ、入れ。」
ぎゅっ。
!!
ボソッ
「どうした、A?」
「兄上、中に一人だけじゃありません。たくさんいます。」
「言ってなかったね、ほかの先生方だよ。安心しろ、お前に害を与える人はいないよ。」
兄が言うなら、と失礼します。といって二人が入ると学園の先生達も集まっていた。
「そなたが半助の弟じゃな。しばらくここで療養するといい。じゃが、なぜ訳を聞かせてもらってもよいかの?」
土井先生の側から離れ、学園長に頭を下げるA。
「この度は我が命を助けていただきありがとうございました。土井半助の弟のAと申します。もちろん、今から経緯をお話致します。兄上、よろしいですか?」
土井先生の過去もあるのだろう。許可を求めると、土井先生は頷いた。
意を決してAが口を開いた。
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作者名:七瀬 | 作成日時:2018年7月27日 1時