34.本日も頑張りましょう。 ページ44
「あーーー。言う機会がないよー。」
早朝。まだ日が明けてから間もないそんな時間に王城の庭に出て伸びをする。
非常勤の私がなぜこんな時間に王城にいるのか。それは、昨日仕事がひと段落してユウハとご飯を食べに行きその後、家に帰ろうとしたら、新たに仕事を任されてしまって、徹夜をしたからだ。
さっきほど、3時間ほど仮眠をとったため、眠気は取れたが、まだきついものがある。
それに……
折角…昨日答えが出たゼンの誘い…
早く返答したいのだが、今日はゼンたちは非番で遠出をするらしく夕方まで城にいないらしい。
『あ、A！こんな時間にいるなんて珍しいね。泊まりかい？』
そう言いながら廊下を歩いていた私に話しかけてきたオビが、木の上に乗ったまま、
『今日これから、遠出するんだってさ。』
なんて言ったのだ。
決まったその日に言えないって言うのはイヤだったから今日にでも言おう。
なんて朝早くから意気込んでいたのに、さらりと今日は言えない。と言う事実を告げられテンションを落として、じゃあ、またね。と言うオビを見送ったのがつい先ほど。
仕方ないから、明日にでも言うかーー。
なんて、もう一度伸びをしてから、取り敢えず薬室に向かう。
昨日の夜、書類が仕上がったから明日の朝にでも来て、とガラク殿に言われたのだ。
ガラク殿もお忙しいよな。
私が持っていく書類に一度目を通したりとかしてるわけでしょ。後、王城の怪我人とかも見たりして…。
室長とか、大変そう。そのうち、リュウか、白雪がなったりするのかな…。
似合いそうだな。
想像を膨らませながら、歩いていれば、すでに薬室の前についていて、3回ほどノックをしてから、扉を開き声をかける。
「失礼します。トールです。ガラク殿いらっしゃいますか？」
「ん？あー、Aくん？ちょっと待ってて、今行くから。」
薬室の奥から足音が聞こえて、一旦中に入る。
やっぱりこの部屋は居心地がいい。鼻をかすめる薬草の香りが昔を思い出させる。
やっぱり…この匂いお母様の匂いに似てる…
柑橘系のさっぱりしてるけど少し甘い匂い。
私が一番落ち着く香り。
いつも私が来るときになぜか漂っている。
薬草がいっぱいあるとこんな匂いになるものなのかといつも謎に思う。
その空気を肺にいっぱい詰め込んで、今度は二酸化炭素と自分の中にあったもやもやとした感情を吐き出す。
そうすれば、先程の眠気やらショックは少し薄れて、体が軽くなって来た。
よしっ！今日も頑張るか！
ラッキーナンバー
8
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 45人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
尻尾 - シラさん» 了解しました！(^^)ありがとうございます(*^^*) (2017年5月22日 15時) (
レス) id: bb97fb99a6 (このIDを非表示/違反報告)
シラ - そうですね。よろしくお願いします！ (2017年5月14日 14時) (レス) id: a9b6bb5114 (このIDを非表示/違反報告)
尻尾 - シラさん» ありがとうございます！…取られそう、って言うのは恋愛的にですか？ (2017年5月14日 14時) (レス) id: bb97fb99a6 (このIDを非表示/違反報告)
シラ - そうですね… イザナに取られそうになる夢主をオビが守るっていうのはどうでしょう？ (2017年5月13日 21時) (レス) id: a9b6bb5114 (このIDを非表示/違反報告)
尻尾 - シラさん» ありがとうございます！できれば、リクエストなどもお願いします(^^) (2017年5月13日 8時) (レス) id: b6819af603 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：尻尾 | 作成日時：2017年3月31日 16時
