3話〜英雄とその孫〜 ページ5
ｶﾞｰﾌﾟ「A、大丈夫か」
『じい、ちゃん。ほら、みろよ、えーす、かわいいだろ？じいちゃんが、おそいから、おれ、いろいろ、せわ、できる、ように……』
泣いちゃだめだ。
おれは兄ちゃんなんだから。
泣くな。笑え。
そうすれば、皆が安心してくれる。
ｶﾞｰﾌﾟ「…もういい」
『！！あ、ごめ、』
ｶﾞｰﾌﾟ「泣け。泣きたいときは泣くんじゃ。ここにはわししかおらん」
『……うっ、うわああああｯ』
泣き崩れるおれからエースを受け取って、反対の手でおれをしっかりと抱きしめてくれる。
温かい。
じいちゃんは、ちゃんと、生きている。
『なんでｯ…なんで！！父さんも、母さんも！！おれを置いていくんだよぉ…！！いやだっいやだぁぁ！！！』
もう2人とも死んでしまった。
泣いたって、何したって、2人は帰ってこない。
でも、おれには両親を失った悲しみが大きすぎた。
島の人も、かわいそうにって言ってくれるけど、アンタらに何がわかるって思っちまう。
じいちゃんが来るって聞いてたのに、全然来てくれないし。
エースが泣くから、必死であやしてやらなきゃいけないし。
ずっと、泣きたかったのはおれのほうなのに。
『来るのが！遅いんだよ！！クソジジイ…！！すぐ来るって、言ったじゃないか！！！』
ｶﾞｰﾌﾟ「すまんかった。何も言い訳はできん」
『おれ、がんばった、がんばったんだよ……でも、だれも、ほめてくれない、し、さみしかった、』
ｶﾞｰﾌﾟ「そうじゃな。偉いぞA。よくエースを護ってくれた。寂しい思いをさせて悪かった」
『……じいちゃん。じいちゃんは、死んだりしないよな？おれを、一人にしないよな？』
じいちゃんは自分より絶対先に死ぬ。
わかっていても聞かずにはいられなかった。
ｶﾞｰﾌﾟ「お前とエースだけ残して死ねるわけなかろうが。大丈夫じゃ。わしがついておる」
『約束、だぞ』
ｶﾞｰﾌﾟ「あぁ、約束じゃ」
じいちゃんに抱きしめられて、安心感に包まれる。
同時に、今までの疲れが波のように押し寄せて。
おれは意識を手放した。
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作者名：しゅがぁ | 作成日時：2022年11月15日 0時
