8話 ページ10
kn side
辺りがざわざわとして来た。
バタバタ、と屋上への階段を上がる足音が聞こえて来た。
「…！」
勢いよく開いた扉には、先程のクラスメイトが口角を上げて立っていた。
「よーぉ…また楽しませてくれよ」
今度は条件が違った。
先程は何も持っていなかった彼らだったけれど、今は全員がビニール傘を持っている。
.
「っ…ぁ…！」
腹にぐりぐりと傘をねじ込まれる。
痛い、苦しい、息が…
.
今度は傘が腕に降って来た。
叩きつけるように傘が振り下ろされ、バサバサと音を立てている。
「、ぁ、ゃ、…め…て…」
声にもならない程かすれた声は、彼らの耳にも届かず意味を為さない。
あれ、視界が、揺らいで…
意識を手放そうとした、その瞬間だった。
「ちょっと！！」
パタパタと足音を立てて駆けつける1人の人影。
「大丈夫！？…じゃなさそうだね…」
「てか、お前ら何してたの？」
僕を心配する優しい声とは裏腹に、彼らには鋭く刺すような声。
人は一瞬でこんなにも声が変わるのか、と少々驚きながらも、手を貸してもらいやっとのことで立ち上がった。
彼らは怖気ついたのか逃げるように去っていった。
「…あ、り…が…」
上手く言葉が出ない。
「無理しないでいいよ、ゆっくり深呼吸して」
優しく包み込まれる。
まるで心優しい母親のような温もりだった。
「う、ぅぅ…！！」
勝手に涙がこぼれていく。
それは、痛みに耐え辛かったからなのか。
それとも、ただ一つの希望に出会えた安心感からなのか。
…いや、どちらともだろう。
目の前の暖かさに身体を預けた。
…彼の歪んだような笑みに気付かずに。
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sh side
…暇だ
最近登輝とも話さなくなって、他の友人も部活やら何やらで忙しい。
未だに部活を決めていないのは学年に数える程しかいないだろう。
ふらふらと校舎内を歩く。
…そういえば、屋上って空いてるんだよな…？
そう気づいた瞬間、猛烈に好奇心が掻き立てられた。
…めっちゃくちゃ行きたい。
考えよりも先に足は動いていて、自分自身のセーブも効かずに階段を上った。
扉に手をかけようとした、その瞬間だった。
「っ…！」
登輝の声がした。
それと同時に鳴っているのは、何かを殴るような音。
…もしかして…？
いや、でも、怖いな…
行こうか行くまいか、考えていた。
刹那、もう一つ声が聞こえて来る。
「ちょっと！！」
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あおみどり(プロフ) - mimiさん» コメントありがとうございます！感想嬉しい限りです！！励みにして活動させていただきます…！ (2021年1月3日 23時) (
レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
mimi - 今更で申し訳ない(T-T)完結おめでとうございます！見始めた時は登輝くんの弱々しい、可愛い声を想像していたのですが、だんだん元気になってのちに、kntkさんの声にしか聞こえなくなりました（笑）凄く感動しました！ありがとう (2021年1月3日 22時) (レス) id: f51bfd6fbd (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり(プロフ) - アイさん» コメントありがとうございます！ありがたい言葉嬉しい限りです〜！！番外編、絶対書こうと思ってるので、是非また見てください！ (2020年11月13日 23時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
アイ - 完結おめでとうございます！！更新されるたびに飛んできてました(笑)shさんとknさんの距離が回を進めるごとにどんどん縮まっていって、尾も白かったです！更新お疲れ様でした！番外編…！可能ならば書いていただきたい！長文失礼しました。 (2020年11月13日 17時) (レス) id: d956bb37b9 (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり(プロフ) - アイさん» コメントありがとうございます！今後もあおみどりの小説にお付き合いいただけると嬉しいです！更新頑張ります〜！ (2020年10月22日 20時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおみどり | 作成日時：2020年10月14日 7時
