28話 ページ31
視点戻ります
sh side
数日後
授業も終わり、帰ることに。
「それにしても、なんだか最近不思議だなぁ」
登輝がぽつりと呟く。
その瞳は夕日が反射していて言葉に表せないほど美しかった。
「…不思議って？」
「んー…なんだか、いつもの僕じゃないみたい」
くしゃっと笑う彼。
「こんなに楽しいのは、爽くんのおかげだよ。爽くんに会えてなかったら、きっと僕はここまで楽しくいられなかった」
ちらりと目を合わせ、微笑む。
その表情に釣られて、俺も口角が上がる。
ぴくりと手が触れる。
その後すぐに、優しく手を握られた。
「…ふふっ」
まるで女の子みたいに笑う彼は、世界の誰よりも可愛らしくて、愛おしく感じられた。
…俺って幸せ者だな。
「爽くーん…？大丈夫ー？」
ぼーっとしていたのか、手をふりふりと顔の前でされて、我に返る。
「あ、ごめん、ぼーっとしてた…」
「何それwあ、じゃあ爽くん、鬼ごっこ！」
「へ？」
「爽くん鬼ね！スタート！」
「は、ちょ…？！」
俺の言葉を無視して駆け出す登輝。
…追いかけないわけにはいかないだろ。
くっそ…運動苦手なのに…
「登輝！待て！」
俺も思い切り走り出す。
…でも、全然追いつけない。
登輝に追いつける訳ねぇだろ。
…クラスで1位2位を争うくらいに足が速い奴に。
というか、他の運動も出来るんだからすごいよな…
前は体育を全て見学していて能力を全然知らなかったけれど…
参加し始めて一気にスター的存在になったからな。
…まぁ、その分女子にもモテてくる訳で。
って、何やってんだ俺！
「登輝〜！」
「遅いよ爽くん！！」
「登輝が速いんだよ！！！」
息を切らしながら声を荒げる。
「…ごめんね？元気なさそうだったから、元気付けようと思ってやったんだけど…ダメだった？」
「ダメじゃないけど…もっと疲れた」
「えへへ、それはごめん」
「ったく…」
仕返ししてやろ。
「？！」
ちゅ、とリップ音を立てて軽く唇を重ねる。
その途端、登輝の顔がこれでもかという程真っ赤に染まっていった。
「は…爽、くん…？！？！」
「仕返し、な」
ニヤリと口角を上げると、登輝はぽかぽかと俺の背中を叩いてくる。
いや地味に痛いからやめて欲しい…
「ばか…！」
「バカで結構」
「…大好き」
破壊力抜群な彼のセリフに心臓を撃ち抜かれたのでした。
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あおみどり(プロフ) - mimiさん» コメントありがとうございます！感想嬉しい限りです！！励みにして活動させていただきます…！ (2021年1月3日 23時) (
レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
mimi - 今更で申し訳ない(T-T)完結おめでとうございます！見始めた時は登輝くんの弱々しい、可愛い声を想像していたのですが、だんだん元気になってのちに、kntkさんの声にしか聞こえなくなりました（笑）凄く感動しました！ありがとう (2021年1月3日 22時) (レス) id: f51bfd6fbd (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり(プロフ) - アイさん» コメントありがとうございます！ありがたい言葉嬉しい限りです〜！！番外編、絶対書こうと思ってるので、是非また見てください！ (2020年11月13日 23時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
アイ - 完結おめでとうございます！！更新されるたびに飛んできてました(笑)shさんとknさんの距離が回を進めるごとにどんどん縮まっていって、尾も白かったです！更新お疲れ様でした！番外編…！可能ならば書いていただきたい！長文失礼しました。 (2020年11月13日 17時) (レス) id: d956bb37b9 (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり(プロフ) - アイさん» コメントありがとうございます！今後もあおみどりの小説にお付き合いいただけると嬉しいです！更新頑張ります〜！ (2020年10月22日 20時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおみどり | 作成日時：2020年10月14日 7時
