変わりたい俺は君を変えたい。【shkn】※学パロ

27話　※病み有 ページ30

sm side

彼と出会ったのは、とある冬だった______


中学の頃、まぁ俺はクラスの中では優等生の位置にいた。
それなのにも関わらず、学年カーストは最下位に近かった。

こんな日々に嫌気がさしたのはいつのことだろうか。


俺は生徒会長として働いていたが、そんな仕事ももうやめた。

“優等生”なんて二つ名はいらない。

俺は堂々と“劣等生”の道を征くのだ。


だから…もうあの中学校に行きたくなくて、家を出た。

親も既に亡くなってて居なかったし。


しかし、寒い中こんなところまで走ってきて、行く末も考えていない。

息を白くして立ち尽くしていた、その時だった。


「俺も、連れてって。須磨くん」


俺についてきていた男の子が1人、同じように息を白くしていた。

「…誰、？」

顔も見たことがない彼に思わず問いかける。


「そっか、話したの初めてだもんね。3年D組の、仲村悠だよ。」
「仲村…？」

聞いたことはある名前だ。
確か3年になった最初に転入してきた奴…だったか？

だが、俺はA組だったから1番離れたクラスで、関わることは全くもってないクラスだった。



「お願い、俺も連れてって」

勢いよく手を握られ、必死な目で訴えられる。

手袋をしていたからなのか、ほんのり温かい。

はじめましての相手と一緒に行く、というのは中々気が引けるが…
1人でいるよりはマシなのかもしれない。

「…いいよ」

「、！ありがとう…！」

そう笑った彼の顔は今でも頭に残っている。



「そういえば、家、どうするの？」

「…決めてない」

「じゃあ、ついてきて！」

「え…？」

訳の分からないまま彼に着いていく。

しばらく歩いて、見つけたのは一見普通の住宅だった。

「これ、俺の前の家」

「前の…？」

「そう。この家、前に住んでたんだけど、まだ売ってなくてさ。親ももう居ないし、ここに住もう？」

「親、居ないのか」

「うん…逃げられちゃって」

「…そうか」

深くは聞かなかったが、彼の悲しい目を見て俺は何となく察した。

ちなみに、この家が登輝の家の隣だ。



彼は病み気質で、そのまま付き合った後も自傷行為は絶えない。

俺はやめろと何度も言うが、彼の心には届かないようで。
涙を流しながら、鮮血の色をした液体をぽたぽたと垂らす日々。

そんな日々に耐えられなくて、彼の意識をこちらに向けようと、嫌なことを忘れさせようと、色んなことをした。


それでも彼は…


「大、丈夫…」

と、弱々しく笑うだけだった。

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