23話 ページ26
視点戻ります
sh side
窓の外をぼーっと見つめる放課後。
部活は…諦めた。
まぁ、登輝といる時間を減らしたくはなかったし。
「爽くん」
登輝から声がかかる。
「一緒に帰ろ？」
「え、ああ、いいよ」
いつもは俺から誘っているので少し驚きつつ、俺はカバンを持って教室を出た。
今日は午前授業の日。
真っ直ぐ帰ってもどうせ暇だ。
登輝もそう思ったのか、
「今日は暇だね…」
と、ぽつりと呟いた。
「…そうだ…僕の家来ない？」
「えっ、？！」
驚いた。
登輝がこんな事を言うなんて。
「い、いやだった…？」
「嫌じゃない！むしろ嬉しいよ。じゃあ帰ったらすぐ行ってもいい？」
「うん、いいよ…！」
嬉しそうに微笑む彼。
マスク越しでも可愛らしいのが分かる。
登輝にきゅっと袖を掴まれ、流れるように手を繋いだ。
少し冷たかった手がじんわりと温まっていく感触。
心を躍らせながら帰路についた。
________________________
登輝の家の前。
家に入れる、という意識からか、少し緊張が身体を走る。
インターホンを思い切って押す。
その手も心なしか震えていた気がしなくもない。
「はーい」
と、インターホン越しに登輝の声が聞こえた。
ガチャ
「爽くん、どうぞ」
「あ、お、お邪魔しまーす…」
開いた扉から出てきた登輝に手を引かれる。
ふわりといい香りが鼻をくすぐる。
「ごめんね、ちょっとここ座ってて」
「あ、うん」
白いソファに座る。
ふかふかしていて座り心地が抜群にいい。
このまま寝てしまいそうだ。
…家にソファが無い俺ならではの感想ではあるが。
しばらくして登輝が持ってきたのは紅茶だった。
カモミールティー、というやつらしい。
俺はそういうのに詳しくはないけれど、美味しそうなのは一目で分かった。
「口に合うかな？」
登輝が隣に座ったところで、一口飲んでみる。
なんと形容したらいいのか分からないが、とりあえずとても美味いものだった。
「ん、うま…！」
「よかったぁ…」
俺の声を聞いて登輝は心底安心したように肩を落とす。
そういえば、どうしてこんなに積極的なのだろうか。
いつもの登輝はこんなことしなかったのに。
そんな思いが、声に出ていたようで…
「あ、それは…」
と、登輝が口籠った。
「…少しは、恋人らしいことしたいなって…」
登輝の頬がうっすら赤に染まる。
そんな登輝にまた心を奪われたのは内緒だ。
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あおみどり(プロフ) - mimiさん» コメントありがとうございます！感想嬉しい限りです！！励みにして活動させていただきます…！ (2021年1月3日 23時) (
レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
mimi - 今更で申し訳ない(T-T)完結おめでとうございます！見始めた時は登輝くんの弱々しい、可愛い声を想像していたのですが、だんだん元気になってのちに、kntkさんの声にしか聞こえなくなりました（笑）凄く感動しました！ありがとう (2021年1月3日 22時) (レス) id: f51bfd6fbd (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり(プロフ) - アイさん» コメントありがとうございます！ありがたい言葉嬉しい限りです〜！！番外編、絶対書こうと思ってるので、是非また見てください！ (2020年11月13日 23時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
アイ - 完結おめでとうございます！！更新されるたびに飛んできてました(笑)shさんとknさんの距離が回を進めるごとにどんどん縮まっていって、尾も白かったです！更新お疲れ様でした！番外編…！可能ならば書いていただきたい！長文失礼しました。 (2020年11月13日 17時) (レス) id: d956bb37b9 (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり(プロフ) - アイさん» コメントありがとうございます！今後もあおみどりの小説にお付き合いいただけると嬉しいです！更新頑張ります〜！ (2020年10月22日 20時) (レス) id: 65d1867b2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおみどり | 作成日時：2020年10月14日 7時
