不器用な優しさ ページ10
大量の荷物を持ち、再び昨日と同様階段を慎重におりる
今日はなんだか書類の量が昨日よりもある気がする…
重さも高さも増してるような…
昨日のようなミスをしないように、更に慎重になる
そして最後の一段を降りようとしたとき…
「おい…またぶちまける気か………バカ女」
どこからか聞こえた声に足を止める。
すると声は前方、階段を降りたあたりから聞こえてきた気がする
『ぇっと…糸師くん…?』
すると、抱えていた荷物の大半が消え、彼の姿が見えるようになる。
両手に感じていたずっしりとした重さも先程より軽減されている。
代わりに糸師くんがその大半を引き受けてくれているようだった
『い、糸師くん!悪いよ、、大丈夫、平気だからっ』
「うるせぇ、黙ってろ………こんなとこで撒き散らされる方が邪魔で迷惑なんだよ……」
『でもっ』
「何がちげぇんだよ…。消火器女………言ってみろ」
昨日の間違えを指摘されれば、恥ずかしくなり顔を下に向ける。そして真っ赤になった顔を見えなくする
『…ご、ごめんなさい………。』
ふん⸺と、そのまま職員室へと向かっていく
彼の背中を視線でおうと、彼の服装からして部活中のようだった。運動部…なのかな
「おい、なにしてる………早く来い。楽してんじゃねぇ………」
その彼の言葉にハッとし、急いで後を追う。
そして職員室へと荷物を届け、糸師くんのおかげもあり、今日はすんなりと終えることができた
黙って言ってしまおうとするその背中を引き止める
『ぁ、待って…。ありがとう糸師くん………その。部活中…だった、よね…』
「勘違いしてんじゃねえ…………俺はここを通りがかっただけだ。それで今にも邪魔になりそうな女が目についただけだ…」
今ならちょっとだけわかる…
これは糸師くんなりの優しさ…なんだと
いつも寄せ付けないようなオーラ
怖いような視線を送ってくるけれど
これが彼なんだ…
『そっか………でも今日は糸師くんのおかげで邪魔にならずにすんだねっ…ありがとう』
少し驚いたような顔でこちらをチラッとみる
けれどすぐにまた歩きだしてしまう
彼の行く先はグラウンド……
彼は外の運動部…なのかもしれない
だんだんと糸師くんのことが知れて
なんだか嬉しい
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作者名:あれん | 作成日時:2023年7月17日 23時