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本当の君は ページ9

「あとお前………」





話は終わりかと思われた。
けれど珍しく言葉をつなぐ彼





『は、はいっ』




「あんま俯くのやめろ…。今朝も言ったが…いい気がしない……。それにそいつも調子狂うだろ………」






まさかそんなことを言われるとは思わなくて、咄嗟に返事ができなかった。
ぽかんとする私をチラッと見て、ため息を吐く彼









「下向くし、返事はできねぇしでお前の頭はバカなのか………」





そんな糸師くんの言葉で我にかえると、慌てて返事をする





『ご…ごめんなさいっ。そんなこと…言われたこと、…なかったから。ましてや糸師くんに…………』




正直に言うと、鋭い視線でこちらを射抜く




『ご、ごめんなさいっ……でも、うん。………頑張って…みるね……』





苦笑いを浮かべると、フン⸺と、糸師くんは戻っていってしまった



















『ねぇ、糸師くんって、あんなふうに見えるけど、実はホントは優しかったりするのかな……。』





彼がいなくなるのを見送ったあと、腕の中に
いる黒猫に問いかける








『あなたは、どんな糸師くんを知ってるの?』





ニャア⸺と答えるように鳴いたのを見て、自然と頬が緩む



















その日の放課後、そして彼女らはまた私のもとへとやってくる
その理由はただ一つ。当番制は続けて2日あるからだ。




「桜江ー、ごめん今日もいいかなー。」


『ぇ、あ…うん。』



 






そして押し付けられた日誌などをまた今日もこなし、そしてまた職員室へと運ぶ羽目になるのだ








糸師くんから言われた矢先、また引き受けてしまった…。



この俯きグセも直して、しっかり断れるように頑張りたい…そうしたら糸師くん、ちょっとは私なこと見直してくれるかな…










なんてね⸺









私は何を期待してるんだろ…

不器用な優しさ→←気まぐれな猫



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作者名:あれん | 作成日時:2023年7月17日 23時

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