隣の席の特権 ページ7
そんな出会いがあって、私は暇さえあれば彼を盗み見ている
まぁ、何度も言うけど認識してるのは私だけだと思うし、気にもとめられてないと思うけど
名前は日を重ねるごとにわかるようになった。彼から話すこともないから、呼ぶこともないんだけど
そんな時、ある授業で私は教科書を忘れたことに気づいた
教科書必須な授業でまさか忘れてしまうなんて…
これは致し方なく、見せてもらうしか⸺
見せてもらうしか⸺
ということは、だ。
見せてもらう=隣の人に見せてもらう、だ。
私は息を吸い込んで、彼の名前を口にすることにした
『ぃ、糸師…くん…あの』
するとジロッと鋭い視線でこちらを見る彼。
その視線に体がビクッと反射的に跳ねてしまう。そんなときでさえ、綺麗な顔⸺だなんて思ってしまう私は相当のんきだと思う
『教科書…忘れちゃって…。見せてもらっても…平気…かな?』
俯きがちに彼に言う。すると彼は、はぁ⸺と露骨なため息をつく
「人に頼むのに下向いて言うやつがあるか
…」
『ぇ…あ、ご、ごめん……なさい』
そして、結局はまた下を向いて謝る羽目に。
でもそんなことを言いつつ、糸師くんは結局教科書を見せてくれた
『ぁ、ありがとう…』
授業中、至近距離で盗み見れる糸師くん
こんな距離で見れることはなかなかないと、何回も盗み見てしまう
本当にきれい
こんな素敵な糸師くんには、私なんて全然見合わないんだろうな…
って、私、なに考えてるんだろう…
別に糸師くんは、見ているだけで目の保養になっているだけ…
きっとそのはずなのに…
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作者名:あれん | 作成日時:2023年7月17日 23時