カオスな空間 ページ47
「ま、でもなにはともあれ、何もないなら良かったな」
とまどう私に、錬介先輩が、声をかけてくれる
すると
「ま、いいや。じゃあA…」
と、一声気だるげな声
そして突然、私の目の前に差し出されるスマホの画面
そこにはメッセージアプリ、L○NEの画面が開かれていた
「A、連絡先交換しよー」
『えっ?』
「あっ!凪抜け駆け!!俺も俺も♪」
スマホを差し出す凪先輩と、それに続いてポケットからスマホを漁る廻先輩
「そういえば、俺らこんなに親しくなってんのに連絡先知らなかったな」
せっかちな二人を傍目に、世一先輩が笑う
そんな先輩たちをみて、私もつられて頬が緩む
そしてポケットを漁る。
右ポケット、そして左ポケット⸺
しかし、掴めるものはそこには何もなかった
『あ……すみません、教室みたいです…』
「えー…Aのばかー」
そして口を×にして凪先輩がいじける
『す、すみませんっ』
「んー、じゃあよしよししてくれたら今日は許すー」
『えっ!』
私のそばにより、頭を向ける凪先輩
癖のあるような、そのふわふわした綺麗な白い髪が目の前で揺れる
まさか先輩を…?後輩が頭をなでる…??
その事実になんだか気が引けていると、凪先輩は私の手を取って、はやくーと、催促する
「A、こうなったら凪は無理だぞ」
横から、眉を下げた玲王先輩が、諦めろと言わんばかりになだめてくる
仕方がなく、私はその白く柔らかい髪に触れて優しく撫でる
『こ、こうでいいですか??』
「ん」
満足気に目を細める凪先輩は、大きいようでなんだか子犬をなでているような気分になった
その光景を見て、先輩たちが騒がしくなる
私も、なんだか楽しくなって頬が緩む
と、騒いでいた先輩たちが一斉に静かになり、撫でられている凪先輩以外の視線が全て私のはるか頭上に突き刺さる
「ありゃりゃ…」
その中でも蜂楽先輩だけがそんな台詞を吐く
その多くの視線の先
私はそこを顔だけ振りむいて確認する
「糸師くん…」
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作者名:あれん | 作成日時:2023年7月17日 23時