放課後の誘い ページ34
体が揺れる
それに伴い、眠りに沈んでいた意識がもとに戻る
「桜江さん。放課後だけど、帰れそう?もし無理なら親御さん呼びましょうか」
重い瞼
泣きはらした目
感覚がおかしい。きっとすごくむくんでいるんだろう
かったるさはあるものの、体を起こして靴を履く
『大丈夫です。ありがとうございました』
先生にお礼を言うと、保健室を出る
「あ」
聞き覚えのある声が、自分の右の方から聞こえた
そこには、保健室から出てきた私をみて目を丸くする潔先輩
「A、大丈夫か?」
『潔先輩…?どうしてここに』
「あぁ、さっきAと同じクラスの子に保健室にいるって聞いて。あ……別にAのクラスを探ったわけではないからな、凛と同じクラスだろ?」
"凛"という単語を聞いて、
私がピクッと体を揺らすのと
潔先輩が気まずそうに声を発するのはほぼ同時だった
「あー…ごめん。今これはだめだったよな」
頬を指でかき、申し訳なさそうにする先輩
私達の間が沈黙する一方、遠くの方からは放課後になり、大勢の生徒が賑わう声が聞こえてくる
すると口を開く潔先輩
「って、そうじゃなかった。A、急だけどこれから俺らと遊び行かね?今日部活オフなんだ」
『これから…ですか?』
「おう!蜂楽もくるし、今日の連中もいるから、きっと楽しいぞ」
放課後に…
遊ぶ…
今までの自分には一度もなかったもの
自分の中の好奇心が震える
でも、私なんかが…
「んじゃ、決まりな!俺ら、靴箱出たとこで待ってるから!!早く来いよ!」
『あっ、潔先ぱ⸺』
黙って考え込んでいた私を丸め込み、半ば強引に行くことが決定される
断りを入れる間もなく、先輩はニッと笑うと手を振り走っていってしまった
一人ぽつんと残され、あっけに取られる
とりあえず、行くことが決定しまっては先輩方を待たせるわけにはいかない
そして私は自分の荷物を取りに教室へと足を動かすのだった
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作者名:あれん | 作成日時:2023年7月17日 23時