二人の先輩 ページ26
「わー、なんていうか。凛ちゃんの記憶に残るのも頷けるっていうか。
まーいいや!!俺は蜂楽廻!よろしくね!!」
何やらわけのわからないこという先輩
なんのことだろう⸺
この黄色い先輩は蜂楽先輩と言うらしい
「俺は潔世一。よろしくな」
そしてこっちの青い先輩が潔先輩⸺
『よろしくおねがいします。蜂楽先輩も、潔先輩も、珍しいお名前なんですね。』
「いやいや、Aちゃんもそれなりに珍しいからね??名字も下の名前みたいだし、どっちが名前かわかんなくなっちゃいそう!!」
それから休憩時間中、先輩たちとお話した
仲が良くなった人とこんなに話せること、ましてや異性とこんなに打ち解けて話すことなんて今までなかった
そんな私にとってとても楽しい時間を過ごした
優しく兄のように接してくれる潔先輩
友達のように気さくに話してくれる蜂楽先輩
この二人の先輩に心を開くのにはそう時間はかからなかった
話が盛り上がってくると、再びホイッスルが鳴り響いた
「お、再開みたいだ。じゃ、A。俺らは行くから。ゆっくりしてけよ」
「じゃーね、Aちゃん♪またいつでも見に来てね〜♪」
『はいっ!頑張ってくださいっ…』
練習に戻っていく二人を見送る
またグラウンドに活気が戻り、周りの歓声も再びあがりはじめる
一人になった私は、また再び練習を見つめる
何人もいる部員の中には潔先輩と蜂楽先輩もいる
けれど私の視線は結局は一人の人物に注がれてしまう
『糸師くん…』
彼が熱心にプレーする様子を見ていると、胸が熱くなる
私…
糸師くんのこと⸺
すると熱を注いで見ていた彼が、シュートを決めた
その直後、周りにいた女子たちの歓声が先程よりも大きくなった
きゃっきゃと騒ぐ子たち
糸師くんを見て、目にハートを浮かべる子たち
その様子を見て、彼の周りからの人気の高さを悟らざるを得なかった
歓声の中の人たち⸺
その大半が大人な感じの雰囲気をまとったきれいな女の人たちばかりだ
糸師くんも…あぁいう女の人が好みなのかな…
自分の髪をひと束取り、見つめる
私とは全然違う…
地味だし
はっきりしないし
見た目もぱっとしない
キレイなわけでもないし⸺
周りの女の子たちとの差に、無意識に手に力がこもった
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作者名:あれん | 作成日時:2023年7月17日 23時