いつもと違う姿 ページ23
糸師くんは練習に合流しにいき、私はグラウンドの隅の方で邪魔にならないように控えめに眺める
意外にも、彼らの練習を見に来たのは私だけではないみたい
周りには何人もの女子生徒でいっぱい
部活って、こんなにギャラリーいるようなものなのかな…
彼女たちの様子を見て、そんなことを思っていれば、急に耳に入って来る歓声
その大きな声に、慣れない体がビクッと跳ねる
熱を帯びた彼女たちの歓声のとぶ先は、そのグラウンド内
目を向けると、どうやらアップもおわって試合形式で練習が始まったようだ
彼らのプレーを見て、度々飛び交う歓声
その歓声が、彼らの人気さを物語る
スポーツに縁のない私。もちろんサッカーのことなんて全くわからない。
けれどそんな私でも、目の前の迫力のあるプレーを見てすごいと思った
本当に高校生の部活動かと思わせられる
そんな中、無駄のない身のこなしで動き回る彼の様子に自然と目が行く
『あれが…糸師くん………』
とにかく無駄がない。
おそらく3年生が主と思われるのに、周りを嘲笑うかのような圧倒的なプレー
普段の彼でもあり、また普段では見せない彼の一面に自分の心が揺れはじめる
"かっこいい…"
その一言に尽きる
まさか自分の隣の席の、ただの男子高生である彼がこんなにすごかったなんて思いもしなかった
何人もの選手がプレーする中、私はただ一人隣の席の彼に目を奪われるのであった
「あれ?君この間の…」
夢中になって糸師くんを見ている私の背後から声が聞こえる
振り返って自分に声がかけられているのか確認する
そこには部活着の男子生徒
私のことをまっすぐ見つめる青い瞳と視線が交わった
「あ、やっぱりそうだな」
ニコッと優しそうな顔が微笑む
私のことを知っている様子
記憶を遡り、彼が誰なのか懸命に思い出す
サラッとした青い髪
頭のてっぺんにV字の癖のある髪
『ぁ…』
そして思い出す
あの時渡り廊下で話しかけられたこと。彼は自分の一つ上の先輩であるということ。途中で自分から逃げ出してしまったことを
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作者名:あれん | 作成日時:2023年7月17日 23時