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「桜江ー、これやっといてくれない?」


「ね、いいでしょ?桜江にしか頼めないんだよー」






同じクラスの女子生徒に、机に置かれた日誌、ファイルなどの山
今日この子達は先生に頼まれて、クラスの当番で仕事を終わらせるように指名されていた






彼女たちは一年の頃もクラスが一緒で、当番が回ってくるたびに私に仕事を頼むようになった






『あの…でも…』





どうにかこの関係を終わらせたくて、勇気を振り絞ってうつむいていた顔をあげる







でも⸺







顔を上げたときに二人の私を見るその目が、怖くて開いた口を一直線に結んで再び俯く







『う、うん。わかった…やっておくね』






すると嬉しそうにキャッキャと、笑い合う目の前の二人






「ほんとー?助かるー!」


「あ、日誌の名前は、いつも通りあたしらの名前でいいからね!内容だけ書いといて!」



「じゃ、また明日ねー!」











彼女らが出ていって私は静かに息を吐く



また、断れなかった…






本当はこんな自分が嫌で、変えるきっかけがほしかったのに…








こうして自信がないから、私はいつも皆の顔色を気にして俯いて生活している




私にも…自信があればなぁ…






とにかく、今はこの目の前にあるものをさっさと終わらせて、職員室に持っていかないと。






重たい眼鏡のフレームをおしあげて、日誌を開く。スラスラとボールペンを走らせ、すぐさま日誌を終わらせる

正直、こういった文章は苦手ではない。まぁ、まるまる約一年ほどこの日誌も人よりこなしていることもあり、得意になっている
本来は得意になっていると言っても、なにも喜ばしくはないと思うけれど…














『よし…』










気づけば教室には私一人で、もうこの階にもほとんどの生徒は残っていないようなそんな静かさを感じる







さて。あとはこの押し付けられた荷物たちを、職員室に届ければ今日の仕事はおわり









自分のバックも肩にかけ、教室を出て静かな廊下をたった一人歩き始める

最悪→←隣の席の君



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作者名:あれん | 作成日時:2023年7月17日 23時

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