変わりたい ページ19
翌朝⸺
今日は糸師くんにきちんとお礼を言わなきゃ
昨日、私は糸師くんに送ってもらって無事に家に帰ることができた
でも実はそれだけではない⸺
夕方、私の学校に置かれたままの荷物を家に届けに来てくれたのだ
それを置くとすぐに帰ってしまったけれど
私は自分の持つ鞄を見る
鞄の中にきちんと洗ってしまわれた、彼の上着
お礼を言って、これをしっかり返す
これが今日の私の目標だ
糸師くんに自分から話しかけること自体ハードルとしては高い
教室に入ろうとすると、入り口に私を阻むように立ちふさがる人
『ぁ…』
足がすくむ
「桜江♪おはよ。昨日は午後いなかったみたいだけどどーしたの？授業、嫌になっちゃったー？」
「心配したんだよ。あたしら。」
絶対に私の不在理由を知っているであろう2人
でもきっと周りからしたら、友達想いな2人⸺
そう見えるだろう
私の友達に手を出した2人
私はもう昨日までの思いではいられなかった
この2人と縁を切りたい⸺
ちゃんと断れるようになりたい⸺
自分の意見をちゃんと言えるようになりたい⸺
こんな私でも
震える口を開く
『あ…のっ…、』
「え？なに？？」
強い口調でこちらを押さえつけようとする
いつもの手口
目をぎゅっと瞑り意を決する
『ど、どいて………ほしい。中に…入りたい…から』
私の言葉に顔を合わせる二人。
「桜江、あたしらのこと無視するわけ？なんでいなかったのかって聞いてんだけど」
「こんだけ心配してるのに、それはないっしょ？」
『わ、私は…もう………2人とは…っ、関わりたく…ないか…ら』
私の反抗的な態度にしびれをきらしたのか、私の腕をガシっと掴む
痛い…
思ったよりも強い力
振り払おうとするけれど、私の力じゃかなわなかった
『や、やめ…て…っ…』
「生意気いってんじゃねーよ」
「ちょっと痛い目見ないとわかんない？？」
無理に引きづられようとするのを、必死に足に力を入れて抵抗する
怖い…
こんなことなら歯向かったりしなければよかっ⸺
「おい。邪魔だ」
冷たい声色が静かに響く
彼女たちの視線は、私の後ろに一瞬で注がれた
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作者名：あれん | 作成日時：2023年7月17日 23時
