レンズ越しの景色【糸師凛】 (ページ18)

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こんな私は変？ページ18

糸師くんの足が止まり、つられて私も足を止める

「ついたぞ…」

結局、視界が使い物にならないため、住所を伝えて糸師くんがスマホを頼りに家まで送ってくれた

『あの…糸師くん…ほんとにありがとう。ごめんね、迷惑かけちゃって…』

「さっさと行け」

『ぁ、うん。ありがとう…。じゃあ…行くね。また明日』

家の塀を伝って、ドアノブへと手をかけようとする。しかしなかなかそこへもたどり着かない私に、後ろからチッと舌打ちが聞こえる

そして私の手に、暖かい何かが触れた

「ここだ、バカ…」

糸師くんの手が、私の手を掴んでドアノブまで導いた
彼の手が触れた瞬間、私の頭は真っ白になってしまった⸺
男の子の手なんて触れたことなかった

『ぁ…』

こんなに…心臓って早くなるのかな…

ふわふわとする頭
何も考えられない

「もう転ぶなよ…」

今まで聞いてきた彼の声でさえ、別物に感じる

足りなくなってしまった頭で、玄関の鍵を開けて、ドアノブを引く

『う、うん……ありがと』

そう言うと、足音は少しずつ遠のいていってしまった

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なんとか、自分の部屋までたどり着くと引き出しを開け、手探りでメガネケースを探り当てる

そして取り出したのはスペアのメガネ

『…はぁ』

眼鏡をかけると、久しぶりに取り戻された視界に安心を抱く。
さすがにあの長時間なれない視界の中にいるのは疲れてしまった

このままベッドに横になりたい気持ちを抑える
とりあえずまずは、この濡れた体をなんとかしなくてはならない

自分の着ている見覚えのない服を脱ぎ、まじまじと見つめる

ジャージに掘られた彼の名前と、彼の体に合わされたサイズをみて、実感するのだ

『ほんとに糸師くんのジャージだったんだ…』

そして先程の出来事を思い出し、落ち着いていた心臓がまた徐々に早くなるのが自分でわかる

気のせいかもしれないが、糸師くんに触れられたとこが熱を持ち始める

こんな気持ちは初めてだ。
こんなにあつくなるのは…
誰かのことを考えるのは…。

私…、変……かな？

そのジャージを抱きしめながら、彼のことを頭に浮かべる

あぁ、また早く糸師くんに会いたいなぁ