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壊れた世界 ページ14

体を伝っては、ポタポタと地面へとたれていく雫




冷たい⸺
痛い⸺



けれど、そんなことよりも今は守りたかった存在の無事が確認できて安心した






「あんた、嘘でしょ。猫なんかかばってそんなずぶ濡れになって…。信じらんない…」






そんなにおかしかっただろうか…。
私がしたことは、そんな目で見られるほど変なことだったのだろうか…。
ただ、友達を守りたかった、それだけなのに⸺。




『も、もうこの子には手を出さないで。お願い』



腕の中にいるその子を、優しく包み込みながら呆然と立ち尽くす彼女に向かって言う



「誰がそんなかわいくない猫…。もうどうでもいいし」




私達に吐き捨てると、彼女は行ってしまった













ニャーと、不安そうに鳴く声で我にかえり、自分の腕から解放してあげる


そして怪我はないか確認しようとした。
そして視界に違和感を覚える。いつものかわいらしい姿はボヤボヤとしたシルエットしか見えず、怪我の有無も確認がとりようがない





『えっと…』




その原因であるものを手探りで探す。最近こんなことばかりだ。
今回は運良く自分の近くにあったため、すぐに見つかった
そしてゆっくりと眼鏡をかけ、目を開く




そして落胆することとなる





『ぁ………やっちゃっ……た…』









レンズ越しに見えるその猫はガタつき、
その空間はガラスがひび割れたときのようになん方向にもずれてしまっている
こんな壊れた視界を見ていても意味がない


そのうえ眼鏡が破損してしまったとなると、流石にこの状態でかけておくのも危ない








さて⸺どうしたものか




眼鏡がないことには、私は本当に何もできない
午後の授業だって、きっと身が入らないし、板書を取ることさえ難しいだろう





考えた末⸺
仕方がないので、午後は帰宅させてもらおうと考える。そうと決まればまずは職員室だ





『ごめんね、途中まででいいから一緒に来てもらってもいい?一人じゃ不安なの』





猫を抱きかかえると、ぼんやりと浮かぶシルエットを見つめて微笑む
それに答えるように一鳴きして返される
これは同意をしてもらえたと勝手に受け取る





おぼつく足で、女子生徒が行ってしまった方角と勘を頼りに、1歩ずつ歩をすすめることにした

見知った声→←守りたい存在



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作者名:あれん | 作成日時:2023年7月17日 23時

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