上級生 ページ11
グラウンドに続く通路で立ち止まる
私、なにやってるんだろ…
糸師くんが行ってしまってから、彼のことを結局追う形になってしまった
そして遠目に何人もの生徒が砂埃を立てながらグラウンドをかける姿が目に入る
あれは⸺
『サッカー部…』
いくらスポーツに詳しくない私でもそれくらいはわかる
糸師くんを追いかけてここに来たということは、彼はサッカー部…ということが容易に予想ができる
「やや?女の子?」
「見慣れない子だな。なんか用?」
グランドの光景をぼーっとみる私の背後から優しさを帯びた声が私に向けられた
その声に振り返ると、糸師くんと同じような練習着を着た男子生徒が二人
頭のてっぺんにV字の癖のついた、青い髪のいかにも普通の清純そうな男の子
その隣には黄色いインナーカラーに、男の子離れした可愛らしい顔つきの男の子
同学年では見たことがない
しかし糸師くんの存在をこの1年もの間全く知らなかったのだ。同学年にいても無理はない。私の頭などあてにならないのは目に見えている
「俺っちの学年では見たことないね。君、何年生?」
黄色い瞳の男の子がこちらを不思議そうに見て言う
『えっと…2年…です』
そのまっすぐな視線を向けられれば気まずくなりいつものように俯く
「やっぱり。2年生じゃ、俺らより1個下だな。なんでここに?」
青い瞳が私に疑問を投げかける
話を聞く限り、この子たち⸺
いや、この方達は先輩になるようだ
ただえさえ同学年ともまともに話すことの難しい私にとって、上級生と話すことなど無理難題な話である
特に威圧的でもなく、ただただ普通に話しかけてくれてきているのに、先輩というだけで私には自分がかしこまってしまう要素になる
『えっと…すみません。お邪魔しましたっ』
ペコリと1度お辞儀をすると、すぐにここから逃げ出したくて、急いでその先輩方の横をかけてその場を去った
それから離れたところで足を止め、冷静に先程のことを思い出す
聞かれていることにもうまく答えられず逃げてしまった…
こんなところ、糸師くんに見られてたら
"バカ女って…"
また怒られるんだろうなぁ…
いつの間にか頭の中には、今全く関係のない糸師くんのことが浮かんでいた
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作者名:あれん | 作成日時:2023年7月17日 23時