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14話 ページ14

もし、もし彼女が本当に俺のことを愛してくれているのなら、俺は………


俺は、彼女に本当の“主”になって欲しかった。



俺が口を開くと同時に門の鈴が鳴った。





ー………きっと政府の人だ
加州君、この口の布取ってくれる?ー





そう言うと彼は、口をキュッと結び
私の後頭部へと手を回した。

布が取れた瞬間、
私は彼に抱きついた。





「加州君
私、待ってるから

加州君が私の愛を受け入れてくれるの
ずっと、ずっと待ってるから」





それだけ伝えると、
私は門へと急いだ。






俺が彼女を“受け入れる”……


俺が受け入れられたり、拒まれたりする側だと思ってた。

けど彼女は、もう俺の事を受け入れてくれてたんだ。



愛してるなんて言葉よりも、
もっと愛されてる気がした。



あぁ、俺愛されてんじゃん



そう分かった途端に胸が締め付けられた。


トクン、トクンと心音が体に響く。

今まで気付かなかった、
考えもしなかった。

自分にも心臓がある事


そうだ

だから痛いんだ
だから苦しいんだ
だから暖かいんだ



今、俺は“生きてる”って思った。



喜びで頬が緩む。

頬や指先がじんわりと熱を帯びてゆく。



ふと視線を上げると、本丸が見えた。


綺麗だと感じた。


短刀は庭で走り回り、
いつのまにか手入された一期一振や岩融も
縁側でそれを微笑ましそうに眺めている。



気が付かなかった
知らなかった

本丸がこんなに綺麗になっているなんて。


俺は慌てて薬研の所へ走っていった。





「なぁ、薬研!
どうしよう俺、なんか可笑しいんだ!
ただの花なのに、ただの空なのに、
すっごいキラキラして見える…!」





そう俺に言った加州の頬はほんのり赤くって、
ずっと紅黒かった瞳の色が、
まるでルビーの様にキラキラと澄んでいた。


あぁ、やっと
やっと旦那の時計が動き始めたんだ。


俺は庭を眺めながら言った





「まだ大将に敵対心を持っている奴等もいるが、
あれはただ不安がっているだけだ。

また、見捨てられるんじゃないかってな。


けど、大将はそんな事しない
もうしばらくすれば、時期に分かってくるさ。


俺達はもう大丈夫だ。
加州のおかげでな。」





だから、今度はあんたが幸せ勝ち取って来い


そう薬研が言った瞬間、
俺は主の元へと駆け出した。

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設定タグ:刀剣乱舞 , とうらぶ , 加州清光   
作品ジャンル:恋愛
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赤羽美海(プロフ) - 槝さん» コメントありがとうございます!!私的に三日月よりも初期刀の加州に「自分は1番古株だから、どんなに苦しくても頑張らなきゃ」って思ってたら萌えるな、と思い作りました。私も楽しく書かせてもらっているので、楽しいの共有が出来て嬉しいです! (2018年9月14日 18時) (レス) id: 49475d5f9c (このIDを非表示/違反報告)
- 楽しく読ませて頂きました!ボス=三日月が多いのは同感です、自満で小説書くくらい思ってたので共感者がいて嬉しかったです* (2018年9月14日 7時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤羽美亜 | 作成日時:2018年7月25日 18時

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