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声を発したのは、意外にも白福さんだった。
白福さんの表情は、いつもの柔らかい笑顔だが、その笑顔にはどことなく怒りが含まれている気がした。
………なんか、目が笑ってない。
その表情に、俺は出しかけていた手を咄嗟に引っ込める。
「Aちゃん、倒れたから私達に迷惑かけてると思ってない?」
「………思って、ます。」
いつもと違う雰囲気に体を縮こませるA。
いつもなら「思ってないですよ、私が気を使うと思います?」とか言いそうなのに素直だな、と思う。
いやまあ、こんな時にそんな事言ったら殺されるの確実だから言わないだけだろうけど。
白福さんは、ふぅ、と息を吐いて続けた。
「……あのね、Aちゃん。仕事を熱心にしてくれるのは嬉しい。私達に負荷がかからないようにしてくれてるの、凄く伝わってるもん。」
「でもさ。」
「“熱心”なのと“痩せ我慢”は違うんだよ。Aちゃん、顔青いしまだフラフラじゃん。正直、そんな状態で仕事されても逆に迷惑になりかねないよ?」
「っ……」
図星をつかれて、泣きそうな顔をするA。
そこですかさず、雀田さん。
「ほら、雪絵もそう言ってることだし、保健室行こ?明日もあるんだし、今日は休んでくれていいよ。」
「でも、その代わり明日はバンバン働いてもらうけどね!!」
ニッと笑う雀田さんに、Aの涙腺がついに切れる。
ボロボロと大粒の涙をこぼすAの肩を、雀田さんが組む。
白福さんは、Aの頭を優しく撫でていた。
「ごめんなさい………雪絵先輩………かおり先輩………」
「いーよいーよ!!仲間なんだから、迷惑ぐらいじゃんじゃんかけちゃって!」
「そうだよ〜、Aちゃん、最近頑張り過ぎてたもんね。合同合宿だからしょうがないけどね。」
わんわん泣くAを宥める先輩マネ2人を、俺達は安堵の表情で見つめる。
「ほら、早く保健室行こ?赤葦、連れて行ってあげてね。後で代わりばんこに私達がAちゃん見るから。」
「分かりました。ほら、A。」
「ゔん……」
ズビッと鼻をすすりながらついてくるAの頭を、そっと撫でた。
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ポイントA - とてもおもしろいです (2016年12月3日 19時) (レス) id: 7e34e29712 (このIDを非表示/違反報告)
鉄太郎@低浮上注意--Agar.io(プロフ) - すげえ、イラストが。谷地ちゃんもあんな感じ、だから、まるで作者みたい (2016年9月26日 21時) (レス) id: 2df598d9c8 (このIDを非表示/違反報告)
サユラ - とてもおもしろいです!夢主ちゃんは天然なのかな?かわいいです♪更新頑張ってください! (2016年7月27日 19時) (レス) id: 169d5d9e98 (このIDを非表示/違反報告)
ふふきし - 今回はゆるふわ○樹海ガールかな?!テンポいい曲ですよね(´∀´)作品、面白いです!!! (2016年2月14日 1時) (レス) id: ff604f24a7 (このIDを非表示/違反報告)
*フィラ*(プロフ) - マリー13さん» 返信遅れてすみませんm(__)mありがとうございます!貴方様の作品と私の作品を比べることなんてないですよ!!それぞれの作品の良さがあるので! (2015年8月21日 4時) (レス) id: 0acb92fca9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*フィラ* x他2人 | 作成日時:2015年5月15日 21時