天使の悩み事1 ページ4
お姉ちゃんの劇団の寮に住むようになってしばらくが経った。団員のみんなは優しいし、お姉ちゃんや何人かは私に対する距離感がおかしい気もするけど、今のところ毎日楽しく過ごせている。今日も、学校から帰るとさっそく夕飯作りに取り掛かった。約二十人分のごはんを用意するのは大変だけど、みんなに美味しいと言ってもらえると作り甲斐がある。みんなの喜ぶ顔を思い浮かべながら、キッチンに向かって料理に集中していたけど。
「えっと……何か用?」
背中に刺さる視線に耐えきれず、ついに振り向いた。
真澄「別に。アンタのこと見てただけ」
まるで当たり前のようにそう答えるのは、距離感のおかしい団員の一人、真澄くん。私が寮に来たばかりの頃は、その行動や言動からお姉ちゃんのことが好きなんだとばかり思っていたけど、最近はなぜか私にもお姉ちゃんに対するのと同じような態度で接するようになった。
「料理中は危ないから、もう少し離れてほしいな」
真澄「心配してくれるんだ。優しい……好き」
真澄くんはそう言ってむしろ近づく。
「ま、真澄くん……近いよ」
真澄「照れてる顔も可愛い……」
駄目だ、料理に集中できないし会話にもなってない。
「綴さん〜!」
思わず綴さんに助けを求めると、
綴「ほら邪魔するなって。真澄はこっちな」
真澄「離せ綴」
と真澄くんに悪態を突かれながらも連れて行ってくれた。これで安心して料理ができる。
……と思ったら。
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作者名:iha | 作成日時:2020年1月22日 18時