うみ ページ30
「おはよう」
「うるさい、おもい」
心地いい程度の冷房が効いた部屋で安眠を取っていたのに、
私の上に慎太郎が飛び乗った衝撃と挨拶の大声で重たい瞼を渋々あけた
「なんで来たの」
「海行くの今日だよ」
「そうだったっけ」
わたしがそう言うと慎太郎は口を尖らせた
そんな慎太郎を横目にもう一度布団を頭から被り直すと頭上から呆れ声
「お前まだ寝る気やん」
「急いで準備するから、あと30分寝かせて」
「だーめ、起きよ？」
慎太郎はベッドの縁に座って布団をめくった
「コーヒーいれてくれる？」
無理やり起こされた体を慎太郎の方に傾けながら視界を揺らす
「そのあいだに着替えな」
私の頭を優しく撫でた慎太郎は台所の方に消えていった
ここまでさせて着替えないのもな、って私も着脱が簡単なTシャツのワンピースを身につけた。
歯を磨いて、慎太郎のいれたコーヒーを飲む頃には目が冴えてきた
「今日誰が運転するの？」
アイラインを引いている私の隣で、それをぼーっとみてる慎太郎に問いかける
「わっかんね」
少し考える素振りを見せたけどそう言って笑い出すから私もつられて笑う
ゆるくヘアアイロンで髪を巻いて大きめのヘアクリップで適当に止める
最後に去年の夏に樹がくれたサングラスを胸元にひっかけて完成。
おまたせーって慎太郎に並んで靴を履いてたら、さりげなくカバンを持ってくれる
樹たちも合流したみたいで、今から私たちを迎えにくるらしい。
エントランスをくぐったところで忘れ物に気づいて独り言をこぼす
「香水忘れてた、」
「俺のでよかったらつける？」
「やったぁ、慎太郎の匂い好き」
自分の手首から香るのは嗅ぎ慣れたいい匂いで、
次の香水は慎太郎と同じのにしようかな、なんて。
いつの間にか到着していた大きめの車に慎太郎と乗り込んだ
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作者名：あかにこ | 作成日時：2022年1月22日 4時
