類は友をなんとやら。 (ページ29)

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夏休みページ29

「Aにはこれが似合うよ」

夏休み初日の今日、何故か私は大我くんと水着を選びに来てきた

さっきからずっと、大我くんは真剣な顔で私にウエットスーツを合わせている

「私は素潜りでもするの」

「Aはウエットスーツでも可愛いよ」

大我くんはニコニコして嬉しそうに答える

大我くんは海行かない派だったのに、ビーチエリア限定のモンスターに釣られたらしい

海に行くなら大我くんと2人で旅行の方が良かったかもしれない。

まぁそうなったとしても行かないけれど。

とにかく、このままじゃ本当に大我くんはウエットスーツを買いかねない。

近くにいた店員さんに「人気のを1つください」っていってレジで財布を出した

「これでお願いします」

いつのまにか隣にいた大我くんが現金を店員さんに渡した

ついさっきまで真剣な顔でウエットスーツを見ていたはずなのに。

「ねぇ、何にしたの」

「人気のやつ下さいって言ったの」

「見て決めないの」

「見て決めたら素潜りじゃん」

わたしがそう言うと大我くんは頬を膨らまして唇を尖らせた。

「商品こちらの方になります」

店員さんが包む前に見せてくれた水着は結構際どい黒のビキニ

「いいじゃん」

大我くんは掌を返してニコニコしながらお会計を済ませた

さっきまではウエットスーツにしろって言ってたのにこの変わりよう。

店員さんから商品を受け取ると満足気に大我くんは歩き出した。

「申し訳ないし、お昼は私が出すね」

「じゃあお言葉に甘えてコースのイタリアンとかご馳走してもらおうかな」

大我くんはいたずらっ子みたいな笑顔で私の手を握った

「真面目に答えてよ〜」

「ごめんごめん」

そのあと、適当にご飯を食べた。

「帰りは俺が」なんて言って、

意気揚々と運転席に座った大我くんがかわいくてストーリーにおさめておく。

もちろんそんな大我くんに運転は任せられないから大人しく助手席に座ってもらった

帰路は思っていたよりもあっという間で、

もう目の前まで迫った夏から逃げる方法はないな、と買った水着と共に海へ行く準備を始めた。