歪なのかもしれないね (ページ21)

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席を外していた樹が個室に戻ってきて
「帰るぞ」って私の荷物を持ちあげた

私は酔いが冷めなくてふわふわした気持ちで樹に手を伸ばして「じゅりたたせて」って

「なんだそれ」

樹はまた優しい顔で笑って私を立たせてくれてそのまま来た時みたいに指を絡めて手を繋いでくれた

お店を出てからも足元がおぼつかなくて少しフラフラ歩いてたら

いつもは私の少し前を歩く樹が横に並んで支えれるように歩いてくれてまた胸が締め付けられた。

樹の家になんとかたどり着くと

「軽く片付けるからちょっと待ってて」

どうせ片付けるものなんてないくらい綺麗なくせにって思いながら

玄関マットの上で樹が走っていくのをぼーっと見る

まだ少し足がおぼつかないせいでズルっと崩れ落ちるように座り込む

座り込んだせいか眠気がすごい勢いでわたしの瞼を下そうとしてくる

「立って」

戻ってきた樹が困った顔だけど優しい声で座り込んでる私を見つめる

もう夢かもしれないから甘えてみる

「やだ、じゅりだっこ」

「仕方ねぇな」

わたしの背中の方と膝の後ろに手をまわしてそのまま樹は立ち上がって私を運んでくれる

優しい顔でわたしを運ぶ樹をみてたら現実だったらいいのにって思って名前を呼ぶ

「じゅり」

「なあに」

優しい声の樹に安心して瞼を下ろした