• ページ3
「昨日、なにしてたの」
中学時代からずるずると仲良くしてる北斗が呆れた顔をしながら私をみる
樹の家から帰った後、泣き顔が酷すぎて大学の講義をサボってしまった
北斗は私と樹との関係も全部知ってる
「わかってるくせに」
察しのいい北斗ならどうせ樹と会ってきた。ってわかってるはずなのに
北斗は少しだけ微笑んで
「目、腫れひいて良かったな」
私の目尻を指で軽く拭って自分の席につく
そんなことまでわかってるんだ。
私はなんとも言えない気持ちで北斗の隣の席について講義を受ける準備をはじめた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「で、今度はなんで泣いたわけ？」
いつもの流れでいつもの会話をする
前も聞いたような話を聞いているはずなのにつまらなさそうにしたりせず私の話に黙って頷いてくれる
そしていつもみたいに全部許してくれる
樹と会うたびに必ずこうやって北斗とお酒を飲みながら食事をして話を聞いてもらう
いままで沢山話してきて「やめとけ」って言葉も聞いたけど、その言葉以上に「頑張ったな」って言葉をかけてくれた
北斗は私がその時にかけて欲しい言葉を全部かけてくれて私を救ってくれる
北斗はきっと私以上に私のことを理解してる
北斗のことを好きになれたらどれだけ幸せなんだろうって何度も考えた
でも空想上の幸せは確証のあるものじゃなくて手に入れたとしても
すぐに壊れてしまいそうで、
きっとこのままの関係が1番いい状態という結論にいきつくんだ。
私はグラスに残った液体と馬鹿みたいな自分の考えを全部喉の奥に流し込んだ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 251人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あかにこ | 作成日時：2021年10月1日 21時
