あなたの隣 (ページ7)

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「あゆみ！もう８時前だよ」

こうちゃんに呼ばれてはっと周りを見渡す。日が差し込んでいた窓からも今はもう明かりが見えない。集中していたとはいえ、ここまで周りが見えなくなるとは自分でもびっくりだ。

オフィスに残っているのは私、こうちゃん、加藤さん、山本さんだった。みんな帰る準備をしているところを見ると、もうオフィスを閉めようとしているらしい。

「岩田さん、すごい集中力だったね」

上着を羽織りながら山本さんが笑う。

「つい初日なので張り切りすぎちゃって」

ぐっと伸びをして自分も支度を始める。

「岩田さんとこうちゃんさんははどこに住んでるんですか？」

首をかしげる加藤さんに自分とこうちゃんの最寄りを告げる。そして

「こうちゃんにさんなんてつけなくていいと思いますよ」
といった。

「いや、別にいいんだけど、あゆみが言うなよ！！！」

憤慨するこうちゃんにみんながクスクス笑う。

「でもそれだったらみんな同じ路線だから一緒に帰れるね！」

あ、もちろんみんながいいならだけど、と慌てたように付け足す山本さんを見てオフィスがまた笑いに包まれた。

もちろん、その誘いを断るわけもなく四人で駅まで向かう。こうちゃんと山本さんがクイズの話で盛り上がっている後ろで私と加藤さんも並んで歩く。

「やっぱり二人とも兄弟みたいですね」

と加藤さんが内緒話をするようにこそっとささやいてくる。

「ですね」

私も笑みがこぼれる。