あなたの隣 (ページ6)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:3,478 hit

6 ページ6

「じゃあ、改めて基本的なことを教えるね。まずここは執筆場所。基本的にはここで書いてもらうことになるかな」

そう言って話し始める山本さん。一通り終わった後に

「質問はあるかな」

と聞いてくださった。ただ彼はとても丁寧に説明してくれたため、聞きたいことも特には浮かんでこなかった。

「大丈夫です！」

私も加藤さんも元気に首を振る。

「さっきから二人とも双子みたい」

そう言って笑い始めるこうちゃん。てかあなた、何も言ってなくないですか。

「確かに僕もちょっと思った～」

山本さんも同意する。そこまで言われると少し照れ臭くなってしまう。加藤さんもふふっと笑っていて、確かにこんなお姉ちゃんがいたら素敵だなあと思った。

「でも俺は山本とこうちゃんも双子っていうか兄弟みたいだなって思ってるぞ」

ひょこっと顔を出してきたのはナイスガイさんだった。
「ええ、そうですかあ」

冗談はやめてくださいよ、という風にこうちゃんは笑うが私も案外そうかもなと思った。

「あ、そういえば。ナイスガイの須貝です！岩田さんも加藤さんもこれからよろしく！」

YouTubeのやつだ、とひそかに感動する。

「じゃあ、今日はこのまま帰っても記事を考えてもいいからね！」

オフィスの時計は四時を指していた。今は別にレポートの提出もないし、少し考えていこうと思い、席に着く。加藤さんもこのまま書いていくらしい。話しかけたいという欲が脳内をちらっとよぎったが、彼女もスイッチが入ったのか真剣に考えこんでいた。負けないぞ、と意気込み自分も集中することにした。