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「えらい降ってきたな」
「ほんとだ...」
風が強くなってきたし窓閉めようか、と窓際で外を見た彼の呟きに同じように目を向けると思っていたより天候は悪かった。
「天気予報見てなかったね」
「せやなぁ。寒くない?大丈夫?」
「大丈夫ー」
今日の入浴剤何にする?と呑気な会話をしていたら、なんとなく揺れる感覚。
「、、、え?」
目の前のマグカップの中のお茶が揺れているのが見えて勘違いじゃなかった、と思っていると身体に彼の体温を感じた。
「わ、ちょっと、センラ?」
「机の下は無理やし寝室の方がええかな?!」
珍しく慌てた彼に抱き上げられた身体はすぐさま寝室のベットに移動させられてだんだんと強くなっていく揺れに不安になってくる。
「ぅわ!」
「ちょっと我慢してな」
彼はベットの上に座ると座ったままの私の頭に布団を掛けた。
そのまま頭を抱えるように抱き締められて少し苦しい。
グラグラと揺れを感じて怖い筈なのに、怖くない。
(守られてる...)
ぎゅう、と身体も抱えるように抱き抱えられてこんな時に不謹慎だけど嬉しい。
そのまま黙って抱き締められていると、だんだんと揺れが収まってきた。
「終わった?」
「、、、ぽいね?」
「結構長かったなぁ」
もう大丈夫かなと布団を捲られて彼と顔を合わせると心配そうに覗き込む顔が見えた。
「ニュース見よか」
うん、と頷いて立ち上がると彼が頭に枕を乗せてきて笑ってしまう。
このまま行くで、とリビングに向かってテレビでは速報が流れていて結構大きな揺れだった事がわかった。
外では雨音が強くなって雷が鳴り始めていた。
「地震はもうなさそ、え?」
「わ!真っ暗...」
落ちたかな?と思えるほどの雷鳴の後に突然真っ暗になった。
センラ、と彼の姿を探すまでもなく彼の瞳が淡く光っていてこちらを向いている。
「大丈夫やで」
怖い?と優しい声色で抱きしめられて、その体温に安心する。
そうだった、いつだって私はセンラに守られてる。
「センラがいるから怖くないよ」
「傍におるよ」
大丈夫大丈夫と背中を撫でられて真っ暗だからか素直に甘える事が出来て、そのまま肩に頭を乗せて体重を預けた。
「停電?って言うんやんな?どうしたらええん?」
「玄関の上にあるブレーカーを上げれば大丈夫だと思うんだけど...」
「...もうちょっとこのままがええなー?」
あかん?と囁かれると断れなくて、背中に腕を回して暗闇なのをいい事に存分に甘える事にした。
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ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2023年2月9日 20時) (レス) @page10 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
水奈(プロフ) - 何度か読ませていただいている者です。また読みに来ました//// 毎度のことながら作品に引き込まれています、、!最近は気温差激しいのでお体にお気をつけてお過ごしください! (2021年6月30日 21時) (レス) id: c23061aaff (このIDを非表示/違反報告)
碧 - 面白かったです!続き、楽しみにしてます! (2020年5月22日 15時) (レス) id: 2329b8e021 (このIDを非表示/違反報告)
しおり(プロフ) - はじめまして!この作品本当に大好きです!何度も読み返してます!無理しない程度に更新頑張ってください!待ってます(^^) (2020年4月30日 1時) (レス) id: 7575f9d0a3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 初めまして、1話から一気に読んでしまうほど面白くて、凄く素敵なお話です!わたし自身、せんら推しなので、こんな甘々なせんらさん見れるなんて幸せです!他のメンバーも可愛くて微笑ましいです。無理しない程度にこれからも、更新頑張ってください。応援しています! (2020年3月6日 17時) (レス) id: 7837a845b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あーりん | 作成日時:2019年10月1日 3時