検索窓
今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:221,013 hit

268:センラside ページ3

「あの子って、、、知ってるん?!なんで?!」

「ちょっと、落ち着いて」

見た事があるかの様な物言いに天月くんが掴むより強くその人のマントを握った。
天月くんにも落ち着いてと肩を引かれとりあえず手を離すと楽しそうに笑っている。

「たまにあるんだけど久しぶりだなと思ってね」

見せたことは内緒だよと開いたページを俺に差出しして指でなぞっていく。

「死神は魂の回収をするから本人の名前が書かれてるのはもちろんなんだけど、そこには死因も書かれてる」

心臓発作、交通事故と並んだ数々の死因の中、一際目立つ文字を見つけた。

「妖によって死亡、、、?」

文字を勉強しておいて良かったとAちゃんが携帯を買ってくれた時くらい思った。
その死因の横には、よく知った名前があった。

「君の事じゃないの?」

探してるんでしょと冊子を閉じる。

「Aちゃんに、、この子に会ったんですか」

自分でも声が震えているのがわかる。
無事かどうかわかった。
でもこいつといるとなると話はまた違う。
何をされているかわからない。

「可哀想に、毎日殴られてばっかりだよ」

今日もね、とその言葉に俺と天月くんは目を見開いて顔を合わせた。

「今の俺じゃここに入れません。、、、入れて貰えませんか」

お願いしますと頭を下げると天月くんもお願いしますと一緒になって頭を下げてくれた。

見つけられた喜びと、殴られているという怒りで身体が震えた。
頼みの綱はこの人しか無いと頭を下げ続けると掴んだマントを払われてしまった。

「神は妖に手を貸せないよ」

「それは、、、」

穏やかな声色ではない、冷たく低い最もな返事に言葉が出ない。
それでも、無理だと分かっていても頭を下げるしかない。

「せめてその子を、、、早くそいつから離して貰えませんか」

どちらにせよ死ぬより他ないなら、せめて一秒でも早く引き離して欲しい。
どこの妖がやってくれるのか知らないけど俺の元に帰ってきてくれさえするならそいつの息の根を止めるのは諦める。
お願いしますともう一度頭を下げた。

「頭を上げてよ」

「あの子を助けて貰えるまでは、上げれません」

頑なな俺の返事にその人は溜息をつくと両肩を持たれ無理矢理身体を起こされてしまった。

「俺は他の死神と違って優しいからね」

さっきとは違う、穏やかな声。

「人助けならしてあげるよ」

その意味がわかって、俺はありがとうございますとまた頭を下げるとその人は笑ってくれた。

269:センラside(そらる)→←267:センラside



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (443 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
775人がお気に入り
設定タグ:歌い手 , 浦島坂田船 , 天月
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あーりん(プロフ) - 神楽さん» ありがとうございます( ; _ ; )元の甘々要素に戻したくてふんだんに取り入れていこうとしてます、、、w甘々になってるのか?と自問自答付きですがw (2019年9月21日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
神楽 - 甘々ですな...。最高ですな.........。(語彙力低下中) (2019年9月20日 16時) (レス) id: 007b538a5a (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 無為さん» コメントありがとうございます!離れてさせていた分これからは暫くは穏やかな2人をお送りできればなーと思っております!更新頑張ります! (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - 珠菜さん» ありがとうございますー!長いだけのお話なのに一気読みありがとうございます、お疲れ様でした( ; _ ; )これからも楽しんで頂けるように頑張ります! (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)
あーりん(プロフ) - ゆうさん» 楽しみにして頂けていて嬉しいです( ; _ ; )!ハラハラしてもらうのが目的だったのでゆう様にそう言って頂けて、伝わってるんだなと安心出来ました!w (2019年9月16日 2時) (レス) id: 509e058229 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あーりん | 作成日時:2019年8月28日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。